晴天で迎えた全日本エンデューロ選手権開幕戦。難しめの設定とは言うものの、コンディションはブラックマークがつくほどのドライで、ホコリに悩まされるライダーも多かったほど。まるで南米のシルトのようなまとわりつく砂塵が、テージャスランチに吹き荒れた。

IAクラス

下馬評では、今季鳴り物入りのCRF450RXで参戦を表明した釘村忠だったが、テクニカルな広島ラウンドでは不利であろうと、見られていた。対して、日本のXCシーンを見据えて開発、熟成に磨きをかけたXCスタンダードマシンYZ250FXを駆る鈴木健二は盤石。JECに先駆けてすでに2戦が終わったJNCCで苦労した部分も、しっかりとフォローして万全の体制を敷くディフェンディングチャンピオン。これに、モトクロスIAのトップコンテンダーから身を引いたばかりの田中教世がどこまで食い込めるか、に注目が集まった。

鈴木は、下見を終えた2周目に2番時計をマーク。ISDEワールドトロフィーを牽引するだけに、モチベーションも高く、持ち前の全開サウンドをここぞとばかりに鳴り響かせる。しかし、釘村が1番時計、田中は慣れないエンデューロに苦戦する中、昨年も開幕戦のみのスポット参戦で気を吐いた友山雅人が3番時計。さらには、IA大型ルーキーの石戸谷蓮が4番時計で幕を開けた。2周目には石戸谷が2番時計を奪取、表彰台の一角を崩しにくるというエキサイティングな展開。

釘村は2周目にミスで3番時計となるも、その後は終始安定してタイムをつめはじめ、グイグイと鈴木との差を拡大。6分台の戦いは一気に5分台へと突入していくトップ2だったが、とどめのラストラップでは釘村が5分44秒をたたきだし、文字通り鈴木は舌を巻いた。鈴木のファステストラップに10秒もの差をつけるスーパーラップに鈴木は「あれは、何に乗ったとしても、出せるタイムじゃ無い」とコメント。鈴木が完敗を宣言した瞬間である。

3番手はそつなく3番時計を出し続けた友山で、ルーキー石戸谷はみごと4位をしとめて見せた。5位にベテラン内山裕太郎、田中は後半タイムを詰めたが6位に甘んじた。

釘村忠

「今シーズンは、絶対にチャンピオンを獲りたい、あとがない、という意識でモチベーションも高いです。それと、新型のCRF450RXがいいこと、事前にしっかりサスやエンジンをテストしてセッティングを出せたこと、加えてトライアル的なテクニック要素を取り入れてみたことも、勝因として大きいと思います。
仕事の事情で、ISDEフランスは断念しましたが、来年からの参戦は視野にいれていますし、このままではダメだという意識がとても強いですね」

鈴木健二

「マシンの仕上がりは、考えていたとおりでしたし、自分自身も走れていないわけではなかったのですが、特に最終ラップのタダシが速すぎましたね。こういう時のタダシは、怪我の危険性があるので、気をつけてもらいたいなとも思います。
ISDEまでにあと3ヶ月あるので、下半身を中心にしっかり体を作って、日本人初のゴールドメダルを奪いにいきます。僕が、全部うまくいって、ようやく獲れるくらいのもの。甘くはありません」

友山雅人

「フル参戦していたときの財産が、今も生きているのかなと思います。ただ、今回は昨年とは違って、しっかり開幕に向けて練習もしてきました。体力が無いので、これ以上はもう無理ですけどね…」

IBクラス

モトクロスIA経験者の中島敬則と村上洸太が一騎打ちの展開。二人はIA田中に次ぐタイムで1番時計と2番時計を分け合い、わずか2秒差で中島が勝利。中島は、今季JEC・JNCCともにフル参戦を宣言しており、次戦富山では特別昇格でIAへ参戦するもくろみ。3位はIBルーキーの大神智樹で、今月末エンデューロ世界選手権へのスポット参戦が予定されている。昨シーズン末、一気に力をつけただけに、次戦以降の成長に注目。

Nクラス

Nクラスでは、全5周中すべて一番時計で圧倒した赤堀吉功が圧勝。XCで磨いたスキルを存分に発揮する形となった。

ウィメンズクラス

ウィメンズクラスでは、昨年最終戦からYZ125Xを5cmもローダウンさせた仕様にした、近藤香織が苦手意識のある広島を制する結果に。常勝の福田雅美は最終ラップでミスして、近藤に逆転される結果に。