全日本エンデューロ選手権 Rd.2 村田SUGO2DAYSエンデューロ大会「馬場亮太がパーフェクトなレース運び。2スト125ccで圧勝」
全日本エンデューロ選手権第2戦は宮城県スポーツランドSUGOで開催。第1戦広島でスポット参戦してきた田中教世につづき、このSUGOでは渡辺学がIAトップライダーの顔ぶれに並んだ。渡辺は2019年ポルトガルのISDEワールドトロフィーチームメンバーで、その出場権利を得るために2018年の同じSUGO2デイズエンデューロへ参戦したきり実に5年ぶりのJEC参戦となる。「忙しくて、マシンをJEC向けにセットアップする時間もなかったけど、楽しめたらいいなと思います」と渡辺。迎え撃つは2022年チャンピオン馬場亮太と、そのISDEポルトガルでのチームメイト釘村忠である。
調子のつかめない釘村に、スタート順が影響した渡辺
今大会はクロステストとエンデューロテストの2つが設定され、例年どおり入門者の多いNBクラスには少し難しめのルートとなった。テスト内にもスタックしてしまうようなセクションがあったものの、IB以上にはほとんど影響がなかったと言えるだろう。むしろ多くのインターナショナルクラス(IA・IB)にとっては、10分ほどの余裕が生まれるようなレベル感である。ところがテストを攻めるとなると、そう簡単ではなかった。特に5分以上におよぶエンデューロテストは、複合的なアップダウンとコーナーが続き、きれいにラインを繋げることが難しい。また、そのラインの要所を覚えておくことも困難だった。
この、ある種の頭脳戦とも言えるエンデューロテストは、初戦同様に馬場亮太が得意とするものであった。下見周回が終わって2周目、馬場と渡辺は1秒差でこのエンデューロテストを僅差で終えたが、馬場は3周目からさらに追い込みを見せ、6秒、4秒ととんとん拍子にタイム短縮を進めていく。釘村、渡辺もこれに追随するものの、そこまで急激につめることはかなわず、さらに渡辺は4周目で少し大きめにミス。馬場は二人を寄せ付けずに圧勝を期した。エンデューロテストはすべて馬場が1位、クロステストでは唯一1回釘村が1位を奪取。馬場との差は、釘村27秒、渡辺42秒、そして4位に保坂修一が46秒差と渡辺に肉薄してきた。馬場は2スト125、釘村は2スト300、渡辺は2スト250。パワーで劣るライトウェイトマシンが、下剋上を達成した形だ。
馬場亮太
「前日に2回下見に行ったんですよ。1回ではラインを覚えていられないほど長かったので。小さいミスはたくさんありましたが、周を重ねる内に修正していくことができたので、だいぶ良かったです。後ろとも20秒くらい差があるって聞いていたので、ムリせずしっかり攻めることができました。最終周はキャンセルになってしまったんですが、欲を言えば明日の雨対策ラインもしっかり予習しておきたかったですね」
釘村忠
「用事があって下見はできずに臨んだレースでした。ラインの組み立て方が難しくて1本外すだけでだいぶタイムロスするような難しさがありました。亮太とはだいたいテスト1つにつき3〜5秒くらいの差で推移していて、じわじわ離されていくような展開でした。明日は挽回して、総合で勝てたらいいなと思っています!」
渡辺学
「亮太も忠も速いと思います。十分スピードを持っていて簡単に勝てる相手じゃないですね。僕はクリアラップがとりづらくて、どうしてもタイムに結びつかなかったところがあります。ただ、この全日本選手権やっぱりあの二人に絡んでいくような人がいて欲しいと思いますね。二人がどうしても突出してしまっているので。明日は二人にしっかりプレッシャーをかけられるような走りをしたいと思います」
ずば抜けた実力でNAから昇格してきた、高橋吟がIBでも高い実力をみせた
開幕戦の広島では、森慎太郎と星野利康が一騎打ちの様相に。しかしこのSUGOでは、東北出身の高橋吟が参戦。昨年のNAクラスでもダントツの実力で、参戦すればトレールバイクでも圧勝してしまう実力だったが、このIBクラスにおいてもそれは変わらなかったようだ。
「YZ250FXに乗るのは初めてで、だいたい10時間程度しか乗っていないんですが、勝てて良かったです。ひとまずこの全日本エンデューロではIAに上がることを目標にしています」という高橋。ミスも大きくしておらず、後続を2分以上引き離して優勝を手にしており、画テストのタイムは十分IAクラスの10番手以内で通用するレベルである。2位は星野、3位は森。こちらは接戦でわずか12秒差を争った。
NAクラスは出口隼飛が2位加藤浩介にわずか3秒差をつけて勝利。NBクラスは渡辺学のチームツイスターレーシングから全日本モトクロス選手権IB OPENクラスに参戦する若手、原國翼がスポット参戦して優勝をものにした。ウィメンズは、和田綾子が全周を走りきってクラス優勝。
土曜の夜から雨の予報で、明日2日目はマディコンディションが想定されている。1日目とのドライコンディションとはうってかわってベストラインも複雑なものになるだろう。様々な対応力が問われる一日になりそうだ。
なお、レース後には選手会長の釘村忠がクラス別にミーティングを開催。様々な意見が議題にされ、全日本エンデューロ選手権の未来を話し合った。