全日本エンデューロ選手権 Rd.6 プラザ阪下2DAYSエンデューロ DAY1「全テスト最速で圧勝の馬場亮太、タイトル4連覇」

秋の大阪・プラザ阪下。日高の激しいマディ戦から一転、乾いた山砂が舞うドライコンディションとなった。前戦でタイトル決定を最終戦へ持ち越した馬場亮太は、今季の集大成としてこの舞台に挑んだ。高速区間と人工セクションが交錯する阪下のコースは、日高とは対照的にリズムの速さとライン選びが明暗を分けた。ざくざくした阪下特有の路面に深いブレーキングギャップが刻まれ、腕上がりを訴える選手も多かった。スピードと正確さ、双方が問われる一日だった。

IA すべてのテストで最速。馬場亮太が完勝で戴冠

IAのDAY1は、馬場亮太(YSP浜松 with BABANASHOX/YZ250FX)が52分10秒32で優勝。全テストを制する圧倒的なパーフェクトウィンだった。前戦・日高ではマディに苦しみ、チャンピオン決定を逃したが、この日はその鬱憤を晴らすかのような走りを見せた。序盤から圧倒的なペースで他を寄せつけず、周囲が腕上がりに苦しむ中でもミスなく走り切った。2位は堀越秀鷹(Ridge Cycle/YZ125X)で54分03秒76、トップとの差は1分53秒44。3位は榎田諒介(Bamboo Riders & KOHSAKA with AtoZ/CRF450R)で54分07秒59と僅か3秒差。

馬場はスタート直後から他を圧倒した。特に上段テスト終盤の下りギャップ区間では、壁際に当ててからインへつなぐ独自ラインを選択し、他の選手がスピードを殺す中でも一気に抜ける速さを見せた。マディで苦しんだ日高戦を経て、より強い集中力と安定感を発揮した印象だ。2番手争いは熾烈で、堀越が序盤をリードする。榎田は走りを変えるトライをしたことで若干遅れを取るが、中盤から本来の走りを取り戻してペースアップ。レースにもしもは無いが、榎田がスタートから同じペースで走れていたら堀越を上回るタイムだった。DAY2はこの関係性が崩れるのか否か、あるいは不調の田中教世や保坂修一があがってくるか。レース後に降り続けている雨はどう影響するのだろうか。

なお、馬場はこの勝利で、ついに今季チャンピオンを確定。これで全日本エンデューロ選手権IAクラスを4連覇となった。

馬場 亮太

「サスペンションとハンドルの仕様を見直して、突っ込めるセットにしてきました。フロントは強め、突き出しはゼロ、ハンドルは低め。吸気はサイクラのダクトで回転の伸びを出しています。下りギャップで飛ぶかどうか最後まで迷うところがありましたが、今日は無理をしない判断にしました。途中でゲートにぶつかって転倒して肩と首に少し痛みがありますが、マシンに問題はありません。明日はリタイヤせず、体の様子を見ながら、一周だけ速いラップを狙いたいです。シーズンを通して本当にうまくいったと思います」

堀越 秀鷹

「これまではコストを削減するため中古タイヤを活用してきましたが、今回からメッツラーのサポートで新品タイヤを使いました。体感でタイヤ一個分、加速が違いました。横ブレが出ずミスも減って、これまで古いタイヤで走っていた時とはまったく別物です。終盤はタレて加速が鈍くなりました。今まではこういうタイヤで勝負していたんだと思うと、かなり苦しかったんだと再認識、今回は成績で自分の力を証明できました。明日はコースを見直して、詰められるところを詰めます」

榎田 諒介
「久々の実戦で一、二周目は走り方が噛み合わず、高いギアで粘る走りでタイムが出ませんでした。三周目からローとセカンド中心のいつものスタイルに切り替えて、タイムが三分四秒まで上がりました。後半は二番時計も出せるようになってきたので、明日につなげられると思います。コーナー同士のつながりをもっと滑らかにすれば、さらに上を狙えそうです」

IB 岩嵜 優が全テスト最速で独走。延原が2位、楠原が3位

IBは岩嵜 優(MSニュートン/YZ85)が56分27秒79で勝利。こちらも全テスト最速を記録した。前戦・日高では延原由祐が完全勝利を収めたが、阪下では岩嵜がその勢いを止めた。2位は延原由祐(MXbuild with BABANASHOX/YZ250X)で57分48秒89、3位は楠原 歩(KTM TOKAI RACING with IRC/250XC-F)で58分01秒62だった。延原は安定感で2位を守り、楠原は後半にかけてペースを上げて表彰台を確保した。

 

岩嵜 優

「今回はYZ85で出ました。僕は全日本モトクロスに吉田琉雲のサブメカとして行くことも多いんです。彼ら若手やジュニアやB級のレースを間近で見てきた中で、いまの育成環境をどう底上げできるかを考えていて、その一環として国産85の可能性を確かめる“開発テスト”として参戦しました。仕上がりはすごく良いですよ。正直“外車のほうが速い”という先入観が自分にもあったけど、キャブが決まれば国産でも負けていないと感じました。実はこの車両に乗るのはまだ3回目くらいですが、今日の自分のタイムが物語っていると思います。

明日は雨でコースも荒れそうなので85には不利かもしれませんが、セッティングが変わる中でどれだけ対応できるかを試すいい機会です」

 

Women 木下夏芽が首位。保坂明日那が追う

Womenクラスは木下 夏芽(未舗装路研究所/250EXC)が40分55秒48でトップに立った。2位の保坂 明日那(Bivouac大阪 with RG3 Racing/KX112)は43分30秒88、3位の平井 千尋(X-Trainer 300)は46分01秒27。木下はテストでトップタイムを並べる安定した走りを見せた。保坂は最終テストでセクションベストを奪い、翌日の逆転を視野に入れた。

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