全日本エンデューロ選手権 Rd.6 九州大会「タフすぎる真夏のラウンド、サバイバルな展開を開幕から馬場亮太が6連勝」
実に12年ぶりの開催となった熊本県御所オートランドでの全日本エンデューロ選手権。広大かつ変化に富む同フィールドで1デイイベントとして開催しまうのはもったいない、ぜひ2デイズにという声も聞こえてくるほど素晴らしいロケーションだが、同時に滑りやすい路面やとてもトリッキーなコースレイアウトでも知られている。かつておこなわれた超絶ハードなGインパクトというレースはもはや語りぐさになっており、今回もルートに難しい小川の遡上セクションが含まれていて馬場亮太ですら埋まるという難易度であったものの、序盤で渋滞になってしまい早々にキャンセルになった。路面の荒れ方も独特で固いギャップだらけになり、後半には脚の不調を訴えるライダーもちらほら。とかくタフなレースで体力の消耗を理由にしたリタイアも目立つほどであった。天候は大雨の予報が続いていたが、奇跡的に小雨がぱらつく程度であった。
マージンをとらずに攻めきることで自らの成長を計る釘村。そして全勝へ王手をかけた馬場亮太
今季のJECはここまで馬場亮太が全勝を続けており、釘村忠がこれを阻止できるか否かが注目を集めている。馬場の実力の高さもその理由だが、釘村がパワーに劣る2スト200ccに乗っていることも大きな一因だ。ISDEに参戦し日本初のゴールドメダルを手にした釘村だが、同時に世界との差を思い知らされたことで近年自らのレベルアップに意識を集中してきており、アンダーパワーの200ccであえて馬場へ挑戦している。
その対決は今回は早々に決着がついてしまうこととなった。釘村は2つめのテストで大きくミスをして5番手のタイムまで落としてしまう。秒単位の戦いを繰り広げるJECにおいてこのミスは取り戻せない失態だった。ラインを毎周のように変えながら試行錯誤を続ける釘村を尻目に、淡々と馬場はレースを進めていく。12テスト中、釘村は5回のファステストタイム、馬場も同じく5回のファステストを記録した。残り1回のうち1回は3位に入った飯塚翼の3つめのテスト。12回目のテストタイムはまだ公表されていないため不明である。
馬場亮太
「すごくつかれました…。後半は脚がつってしまったし、小雨でグリップがすごく悪くなったことでタイムもだいぶ落ちましたね。珍しくテストで1度も転倒しなかったのでそこはよかったと思います。だいたい僕のペースは90%くらいでマージンを10%とってる感じですね。100%で攻めたら絶対ぶっとんでしまいますよ。最近はどうやってレースを組み立てていくのかわかってきていたんですが、今回はそこまで攻められませんでしたね。最終戦はナンバーが必要だと言うことなんで、WR250Fを用意する予定にしています」
釘村忠
「途中で集中力が切れてしまって。その辺が課題ですね。3回転んでしまっています。ほぼ決まりきったラインもしっかり疑って、いろんなラインを試して少しでもタイムを削れないかと模索しています。本当ならもう少し亮太を追い込みたかったんですが、序盤で僕がミスしちゃったんで楽させちゃいましたね(笑)」
飯塚翼
「序盤はかなり攻めることができたんですが、コースがタフで脚がつってしまって。それに先週は会社をやすむくらい体調を崩してしまっていたんですよ。体力も戻っていないなかでのレースだったので後半まで持ちませんでした。最近は違う乗り方を意識しているんです。AMAのジェット・ローレンスを参考にステップの使い方などを変えていて、トラクション重視の乗り方にしています。いい結果に結びついていると思います」
面目躍如、前戦のDNFをから巻きかえして向坊がチャンピオンをロックオン
IBクラスは中日本大会でチェーンが切れてしまうトラブルに見舞われた向坊拓巳が、わずか1テストを残して9割型ファステストタイムを記録。今大会においては敵なしの強さを誇った。2位にはtmの144ccと珍しいマシンで名メカニックの砂田彰がイン。こちらもほとんどのテストを2番タイムでまわり3位藤村昴矢に1分以上のリードを保ってゴール。特にスリッピーなトラックだったこともあって、スキルの差が浮き彫りになった。
向坊拓巳
「前回ノーポイントにおわってしまったので、ここで優勝できてよかったです。今回はIRCのGX20という新しいFIMタイヤを履いて出たんですがとても調子がよかったです。次回でチャンピオンをしっかり決めたいと思います」
ウィメンズは保坂明日那が後半を耐えて優勝
太田晴美、保坂明日那の熾烈な戦いがつづくウィメンズクラス。どちらも安定したタイムを刻んで僅差のレースが続く。序盤でリードしたのは太田だったが、路面が荒れてくる後半には保坂がアドバンテージを奪ってトップへ立ち、そのまま1位を奪取。