全日本エンデューロ選手権 Rd.7 プラザ阪下2DAYSエンデューロ DAY2「馬場亮太、エンデューロテストの3分切りを含む全区間最速で完勝」
前夜から雨が降り注いだが、水はけの良いサンド質のプラザ阪下は大きな影響を受けなかった。前日の走行で刻まれたブレーキングギャップがさらに深くなったことで、ギャップに負けず攻めの姿勢をとり続けられるかどうかが勝敗を分けた。

IA 馬場が2位に大差をつける38分37秒81で完全勝利。榎田と酢崎は2秒64差の接戦



IAは馬場亮太(YSP浜松 with BABANASHOX/YZ250FX)が38分37秒81で優勝。12本すべて区間最速で、エンデューロテストは2分59秒80とDAY1で届かなかった3分切りも達成して貫禄を見せつけた形。2番手争いは酢崎友哉(SHERCO成田MXパーク/300SEF)のランキング2位昇格がかかっていることもあって熾烈な戦いに。序盤はランキング争いに関わらないスポット参戦の榎田諒介(Bamboo Riders & KOHSAKA with AtoZ/CRF450R)が2番手を押さえ、中盤に酢崎が詰める展開となったが、最終ループまで榎田がまとめ切った。結果的に2位は榎田39分46秒76、3位は酢崎39分49秒40で、2位争いは終盤まで2秒64の僅差、ランキングの行方は保坂修一(BIVOUAC大阪 with RG3Racing/MC300)が2位をキープということに。
馬場 亮太
「今日は体がよく動いて、1日目よりもいい走りができました。自分の中では80点くらいです。後半に筋肉的な限界が来て、最後までプッシュし切れなかったところは課題ですね。モチベーションは勝つことより、自分にとってのいい走りをすることにあります。若い選手が増えてきていますが、彼らには絶対負けないつもりで準備していきます」
榎田 諒介
「今日は転ばずに走り切れました。スタート順が後ろで、ゴールした須崎選手のタイムをほぼ毎回見られる位置関係だったので、一本ごとに意識して合わせていきました。ランキングの条件は走行中はまったく知らなくて、終わってから言われて知ったくらいです。速度域の速い阪下のレイアウトは勢いだけではまとめられないので、減速とアクセルオンの位置を固定して崩さないことを意識しました」
酢崎 友哉
「二日目ということで体が動いてきました。最初の二周はペースが上がらなかったんですけど、三周目あたりから調子が良くなり、ブレーキングのメリハリを意識して、ミスを減らしていけました。ランキングのことは走っている間はあまり考えていなくて、2位に入るとは正直思っていなかったです。榎田さんか堀越さんが来るだろうと予想してましたね。内容としては成長を感じられたので、来季はシーズン通して安定して表彰台に乗れるようにしたいです」
IB 岩嵜優が42分00秒39で逆転勝利。序盤の主導権は延原



IBは岩嵜優(MSニュートン/YZ85)が42分00秒39でDAY2も勝利。2位は延原由祐(MXbuild with BABANASHOX/YZ250X)42分23秒75、3位は楠原歩(KTM TOKAI RACING with IRC/250XC-F)42分45秒58。朝のCT(クロステスト)1〜ET(エンデューロテスト)2は延原が区間最速タイムを並べて先行したが、中盤以降は岩嵜がETのトップタイムを取り続けて逆転。終盤も区間最速で締め、23秒36の差をつけた。楠原は攻めた周と崩れた周が分かれる中で、終盤のETで区間ベストを含めて立て直し、3位を確保した。
岩嵜 優
「2本目までは延原選手に完全に負けていました。そこで焦らず、一本ごとに整えていくことに切り替えました。今日は85のモデファイのテストが目的でもあって、長い時間を一定の強度で走ることに集中しました。二日目は朝一で自分が負けているのを見て意識もしましたが、一本ずつ積み上げていけました。ジュニアやB級の育成の視点でも85の可能性を確かめたかったので、内容としては狙いどおりです」
延原 由祐
「エントリーリストを見た段階から岩嵜さんがトップ争いに絡んで来るなと分かっていて、最初から120パーセントで走りました。一本目のタイムを見て、これはまずいと思ってさらに上げたんですが、後半は自分のレベルを超えた走りになってしまって、勝てなかったです。IAに上がる前に課題がはっきりしたので、オフシーズンは落ち着いてレースをまとめることに取り組みます。IAの雰囲気に飲まれないように準備したいですね」
楠原 歩
「二日とも晴れでハイスピードなレイアウトでした。マディで苦戦した年のことを考えると、思っていたより乗れました。二日目は攻めて、1番時計を狙う周と転ぶ周がはっきり分かれていいタイムでまとめ切れず悔しさが残りました。今のままだとIAで10番手に入るか入らないかなので、フォームと基礎を見直して、入賞圏の6番以内を目標にします。来年から社会人になるので、環境の変化に合わせて練習の質を上げます」
Women 木下夏芽が39分21秒20で二日連続の首位。保坂明日那が後半でタイムを詰める
Womenは木下夏芽(未舗装路研究所/250EXC)が39分21秒20でDAY2もトップ。2位は保坂明日那(Bivouac大阪 with RG3 Racing/KX112)42分11秒64、3位は平井千尋(X-Trainer 300)46分22秒26。木下は全テストで区間首位を並べ、後半まで安定して差を広げた。保坂は後半の数本で差を縮め、最終テストまで木下を追い続けた。
木下 夏芽
「二日間とも自分の思う走りができました。ライン取りやブレーキをかけるタイミングは全日本モトクロスの経験が生きていると思います。あえてスピードが出ないラインを選べるようになって、安定させることを優先できました。機会があれば来季も出たいですし、出るなら日高にも挑戦してみたいです」
NA 河原廉弥が二日連続優勝。山口慧と3秒79差の接戦
NAは河原廉弥(Team BABANASHOX with YSP浜松/YZ250X)が37分52秒94で優勝。2位は山口慧(YZ125)37分56秒73、3位は渡邉朔(バイクサポートFTW/YZ125X)38分09秒23。河原はCTとETでほぼ交互に山口と首位を取り合う接戦の中、終盤もタイムを崩さずにまとめた。山口はCTで取り返す展開で追ったが、最終合計で3秒79届かなかった。
河原 廉弥
「Day1前の時点でランキングは2ポイント差でした。ずっとコンマや1秒差の戦いだったこともあって、Day2のスタートでエンジンがかからずペナルティをもらった時は焦りましたが、気持ちを切り替えました。阪下は乾きが早いけどギャップが深くて、姿勢を崩さないことに集中しました。身内同士のやり合いも多いシーズンでした。来年はIBに上がるので、モトクロスでのスピード練習と山の練習をしっかりやって臨みます」
NB 伏兵、嶋岡虎汰朗が全テスト最速。鈴木心は年間王者に
NBは初参戦の嶋岡虎汰朗(ハスクバーナショップ ヒラタ自動車/TC250)が35分03秒77で優勝。2位は鈴木心(Beta GAMMY Racing THS/RR2T250)36分05秒81、3位は大津崇博(Beta GAMMY Racing/X-PRO)36分35秒52。嶋岡はCTもETもすべて区間最速を獲得、2位に62秒04の差をつけた。
嶋岡 虎汰朗
「オンタイムは初めてでしたけど、自分には合っていました。一本ごとにやることを整理して、安定を優先しました。クロスカントリーの経験が荒れた路面の処理に生きました。こころ選手と大津選手を倒すつもりで来たので、全部1位を取れてよかったです。お金の問題はありますが、機会があれば上のクラスや全日本にも出たいです」


