全日本エンデューロ選手権 Rd.7 北海道大会「ルスツ1日目は釘村忠の勝利、馬場亮太タイトル決定ならず」
2022年全日本エンデューロは早くも最終戦へ。全日本で唯一公道を使用するオンタイムレースとして長い歴史をもつ日高2デイズエンデューロが、コロナ禍の影響で2020年から休止している状況のなか同日程でルスツ2デイズエンデューロが開催されてきた。昨年から主会場のビッグベアだけでなく、公道をつないでイゾラスキー場にエンデューロテストを設定し、走りごたえも好評である。
釘村忠が2位以下を28秒離して勝利、保坂修一が復調
IAクラスは開幕から6レースを馬場亮太が連覇する全日本史上初の独占状態が続いてきた。公道を使うこのルスツ2デイズエンデューロにおいては、ナンバーを取得できる海外メーカー以外のライダーは、マシンチョイスに苦戦するのが常だが、馬場は新型のWR250Fを用意していつもとほとんど変わらない状況を準備。万全の体制と思われていたが、このルスツのラウンド7でまさかのマシントラブルをおこしDNFに。
気を吐いたのは強豪釘村忠。今季は自らアンダーパワーである2ストローク200ccをチョイス、厳しい戦いを自らに課してきたが、このRd.7では見事に圧勝。4周目のビッグベアテストでのみトップタイムを譲るという強さを見せつけている。この4周目のビッグベアテストで1位を奪ったのは熱田孝高。これまで地元スポーツランドSUGOのみ参戦してきた熱田だったが満を持してこのルスツへスポット参戦してきた。2番手タイムをチームメイトの保坂修一とわけあった前半だったが、後半になるにつれてタイムがまとまり、最終的には保坂と31秒差でフィニッシュしている。公道を使うこともあってマシンを変更するライダーが多く、実に7位まで海外ブランドが席巻するという結果に。
このラウンドの直前まで馬場150pt、釘村110ptとほぼこのラウンド7で馬場のチャンピオンが決まると思われていたが、この馬場の失速で最終戦まで決定ならず。また馬場の安全マージンはわずか10ptとなり、最終戦における逆転の可能性もでてきてしまった。
釘村忠は「馬場亮太がいないレースはモチベーションもあがっていかないなと…。最終戦にしていちばんいいコンディションで走れていると思います。200に対してもっともいい走り方に変えたんです、エンジンのいちばん美味しい車速・エンジン回転数で走るというか、リンクしない部分を合わせこんだかんじですね。むやみやたらにひっぱるのではなく、6000〜7000回転くらいのおいしいところを長く使えるようにトレーニングをつんできた感じですね。明日は15pt差ですが、最後まで何があるかわからないのでプッシュしつづけようと思います」
2位に入った熱田は釘村に差をあけられてしまったことに悔しさを隠せない様子。「僕は気合いで走るようなコースが得意で、今回のようなテクニカルなコースでは持ち味を発揮できないですね。コースは面白かったですが、もうすこしひねりがあったら僕も戦えたかなと思います」とのこと。チームメイトでライバル、ISDEフランスを完走してきたばかりの3位保坂は「まだ手探りですけど、ISDEで学んできたことをすこしでも日本に還元できたらいいなと思いました。来年は全日本モトクロスのIBもスポット参戦したいと思っていて、スピードをちゃんと磨いていきたいなと」
IBに砂田彰が初優勝へ
向坊巧巳が圧倒的な強さをみせつけてきたこのクラスだが、ここにきて今季よりエンデューロに参戦しはじめている砂田彰が初優勝を遂げた。砂田はモトクロスのバックグラウンドを持っており、現在はドカティのディーラーに籍を置いているとのこと。「たまたま今回はBetaを借りてレースに出たんですが、これが思いのほかポテンシャルが高くて、僕との相性もばっちりでした。勝因としてはその辺でしょうか。向坊君はいつも速くて悩まされています。北海道が地元でここビッグベアのレースもはじめてではないのですが、全日本大会のコースはいつもの地方選とはまったく違っていて地の利はありませんでした」とのこと。2番手伊藤智耶はわずか3.86秒差で砂田に迫っており最速ラップも伊藤が2本奪っている状態。明日の2日目も楽しみな展開だ。
NAはなんと市販トレールバイクのトリッカーで参戦してきた高橋吟が、2番手杉原幸信に2分以上の大差をつけて圧勝。すべてのテストで1位を奪うという事態に。元々IAクラスなみに走れる実力を持つ高橋だが、このラウンドでみせたトリッカーでのタイムアタックは驚きそのもの。NBでは西村裕典が羽田真吾を7秒差で下して優勝。ウィメンズはパドックを並べた保坂明日那と太田晴美の勝負だったが、自らの体格にあったKX100をチョイスした保坂に軍配が上がった。