全日本エンデューロ選手権 Rd3/4 日高2デイズED DAY1「セカンドグループに若手集団が僅差で固まる。トップは釘村忠の圧勝」
全日本エンデューロ選手権のなかでも、日高は特別な2ラウンドだ。公道を使う長大なクラシックエンデューロであること…、2日間を通した戦いであること…。そして日本随一のロケーションを誇ることから、「一生にこれだけは出ておきたい」と言われるほどの大会である。
IA 逃げ切りの齋藤祐太朗、それを追い詰める保坂修一
それらと別に、競技としては国内メーカーに属するトップランカーにとって、ナンバーをとれるレーサーが存在しないことからトレールマシンでの参戦を余儀なくされることも大きな特徴である。トレッキングマシンのセロー250で快走する鈴木健二の姿は、もはや日高名物とも言えるものだ。しかし、ホンダはこの呪縛から抜け出したと言える。昨年発売されたCRF450LはレーサーのCRF450Rをベースとしたマシン。これを駆りだしたのは、今年のISDEワールドトロフィーチームを率いる釘村忠である。
素性のいいマシンとはいえ、ホンダが本気でストリートリーガルに仕立て上げただけあって、CRF450Rとは環境性能は段違いだし、凶暴なパワーもなりを潜めている。いつも釘村の後塵を拝する若手からすれば、表彰台の頂点を狙うチャンスでもあった。このチャンスに名乗りをあげたのは、同じくISDE日本代表・ディフェンディングチャンピオンの前橋孝洋。ゲレンデのクロステストで1番時計をマーク、これに齋藤祐太朗が続く。イタリア帰りの大神智樹が3番手…と若手の勢い鋭く、釘村は4番手の立ち上がりだった。
ところが、2本目のテストからは誰もが釘村×CRF450Lの破壊力に舌を巻くことになる。3本続けて圧倒的なトップタイムをマーク。2番手以降を一気に引き離した。2位争いは齋藤祐太朗と前橋孝洋だったが、前橋は好成績をまとめられず苦戦。2周目のクロステストでのスリップダウンを機に4番手へ後退してしまう。かわって齋藤を追ったのは最年少IAの保坂修一だった。後半にタイムを落とす齋藤にかわり、保坂は追い上げを効かせてあと一歩の1.7秒差まで圧縮。齋藤は辛勝といったところ。以下8番手馬場大貴までは、何かミスがあれば順位ががらっと入れ替わる混戦模様だった。
2日目は、この1週間ほどの間、雨天が予報されてきたが、前日になって好転。1日目の夕方現在で降水確率20%の晴れ予報となっている。
釘村忠
「事前にいろいろとテストをしてきたのですが、結果的にCRF450Lはスプロケットをロングにして、エアクリーナボックスの蓋を外すだけのほとんどノーマル状態でレースに臨みました。スタンダードのトルクフルな部分を活かす方がいいだろうという判断でした。レース中は、本当にタイムを出せているのか少し不安がありましたが、結果的に優勝できるポテンシャルを見せつけられたと思います。厳しいことを言えば、僕がトレールマシンで出ているのだから、もっと若手に上がってきて欲しかったとも思います」
齋藤祐太朗
「自分は、初見のコースが得意なことはわかっていて、序盤からしっかりタイムを刻んでいかないと勝負はできないと思っていました。実際、後半になるにつれてみんなのタイムが上がってきて、どんどん追い詰められてしまったんです。明日は、みんな2日目なのでこのままではマズイ。今からテストウォークに出かけて、いいラインを見つけてきたいと思っています」
保坂修一
「序盤にタイムが出せないのが、痛いです。釘村さんとは少し差が大きいのですが、齋藤さんには追いつきたい。今日できることは、新たに作戦を練ることくらい。じっくり考えて、2日目に臨みたいです。明日の目標は2位以上!」
IB 神馬匠が2位に47秒差をつけてIAトップクラスに準ずるタイムで勝利
IAクラスの僅差とはうってかわって、こちらも若手の神馬匠が圧勝。8つのスペシャルテストのうち6つで1番時計を決めた。ベテランの赤堀吉功は、2本のテストで神馬を下すも及ばず2位。
神馬匠
「普段走っているJNCCと違って100%で走ることが求められるところが難しく、まだ慣れていません。コーナリングも、JNCCよりも突っ込んで走るようにしているのですが、難しい。目標は、IAでシングルに入れるタイムでフィニッシュすることです」
ウィメンズ 菅原聖子のパーフェクトウィン
昨年エンデューロGPウィメンズカップに招かれ、ドイツでトップランカーの走りを目の当たりにした菅原は、現在全日本選手権を独走中。この日高も大きなミスなく全テストでトップタイムを出して圧勝を決めた。
菅原聖子
「これまでは、バイクにたくさん乗れば速くなれると思っていたんですが、体作りも大事なんだと思い知らされて、体幹をメインに鍛えています。実はバイクも1ヶ月くらい乗っていなかったのですが、それでもトレーニングのおかげかうまく乗れているフィーリングがあります」