Japan Enduro Championship
JECは、タイトル通りJapan Enduro Championshipの略称で、MFJ(一般財団法人日本モーターサイクルスポーツ協会)が公認するオンタイム形式のオフロードバイクレースです。大きく分けて全日本・エリア別のエンデューロ選手権が開催されており、年間のポイント制で順位が決まります。
MFJ公認ということで、ライセンス区分の昇格が関係しており、エンデューロIAやIBといったライセンスは、JECの各シリーズで昇格したことを意味します。FIM(国際モーターサイクリズム連盟)が開催する海外のレースに参戦するには、MFJ国際ライセンスが必要になります。
一斉にスタートして数時間走り続ける耐久レースのことを「エンデューロレース」と思われる方が多いですが、それはクロスカントリー形式と呼ばれます。JEC全日本選手権では、オンタイム形式のレースとなり、世界ではどちらの形式もエンデューロレースと認識されています。
オンタイム形式とは、1周のスタート時間が決められており、その時間を守りながら周回します。コースはテスト区間とルート区間に分けられており、テスト区間ではタイム計測が行われます。そのテスト区間の計測タイムが短い順に順位が決まります。テスト区間でのタイムアタックがメインとなりますので、ルート区間の走り方はライダーが自由にペース配分できるところがクロスカントリーレースとの大きな違いです。
JECのレースに参加するには、MFJのライセンスが必要となります。ライセンスは国際・国内クラスの他に、気軽に参加できる「承認クラス」があり、エンジョイライセンスを取得することで、ビギナーからベテランまで誰でも気軽に参加できます。MFJのライセンスは最短2日で発行されますが、ライセンスカードが郵送されるまで時間がかかりますので、お早めにお手続きする必要があります。
ビギナーから参加可能なJEC
JECは「全日本エンデューロ選手権」ではありますが、どの大会も、アマチュア・ホビーライダーが参加しやすい「承認クラス」を設定しています。ナショナル以上の全日本クラスに出場するには、MFJのエンデューロライセンスが必要ですが、承認クラスはエンジョイ会員でOK。大会によっては、コースも専用のものが用意されています。まったくのオフロードビギナーだとちょっと厳しいかもしれませんが、多少レース経験のあるライダーなら誰でも楽しめると思います。
出場するためには、エンデューロマシンとウエア、それにキャメルバッグなど長時間走るための装備があれば十分です。公道を使用しないエンデューロでは、モトクロッサーなどの競技専用車でも参戦可能です。タイヤは、大会によってFIM規格適合のエンデューロタイヤに限られる場合がありますので注意してください。
スキルは、JNCCなどのクロスカントリーに出場し、完走した経験のあるライダーであれば恐らく大丈夫でしょう。モトクロスコースしか走ったことがない、あるいは林道しか走ったことがない……というライダーは多少苦労するかもでしれませんが、逆にそれだけ大きな手応え、驚きを楽しんでいただけるはずです。
JECに限らず、エンデューロ競技では、競技の公平性を重視するため「選手の大半が問題なく走破できる」コース設定をしています。トップライダーでなければ通過できないようなセクションはありませんし、もしコンディションでそうなってしまった場合は適宜変更されますので安心してください。
身近な開催地の大会からの参加でOK
よく「最初にどれに出ればいいですか?」と聞かれますが、どれに出ても楽しめると思います。手軽なワンデイの大会が家から近いのであればそれがいいでしょうし、北海道の方なら日高ツーデイズでいいと思います。ワンデイ、ツーデイズ、という違いはありますが、競技フォーマットや楽しさはどれも変わりません。
どの大会でもJECに参戦したら、きっとこれまで経験したことのない素晴らしい体験が出来るでしょう。細い山道を上がりきって出た、山の稜線からの眺め。どこを走ればよいのか迷うほど広い草原の中を自由に走る快感。驚くほど急な下り坂を下りていくドキドキ感と、無事に走れたときの達成感。
テスト内では他のライダーはすべてライバルとなりますが、ルートでは(邪魔な場合を除き、抜いても仕方ないので)、同じような速度で走っているライダーとはまるで一緒にツーリングしているような、リラックスした気分で走行を楽しめます。この感覚は長時間競い続けるクロスカントリーと大きく異なるところです。
素晴らしい眺め。連帯感。これまで出会ったことのない路面、テクニカルなセクション。そんな場所を驚く速さで駆け抜けていくトップライダーのテクニックにも目を見張ることでしょう。そう、全日本エンデューロは、モトクロスやトライアルとは異なり、全日本のトップランカーもビギナーも同じコースを走るのです。これって、ちょっと凄くないですか?
ぜひ一度、トライしてみてください。最初はうまく走れないかもしれないし、ひょっとすると完走すら出来ないかもしれません。しかし、それだけにきっと「こんな世界があったのか」と気づき、夢中になってしまうはずです。そしてこの世界の先は、まっすぐそのまま、世界へと続いているのです。
エンデューロライダーは全員、皆さんのトライを待っています。遅くても、ヘタでも、一生懸命やる気持ちがあればOKです。歓迎しますよ。ぜひお越しください!