JEC Rd.1 広島大会「24歳の新星、現る。馬場亮太が釘村、田中、飯塚らを圧倒」

近年、世代交代の大きな波が迎えている全日本エンデューロ選手権。2021年は飯塚翼が保坂修一と接戦を繰り広げ、チャンピオンを獲得。酢崎友哉や馬場亮太、青木琥珀など10〜20代のライダーの躍進が目立っている。そして開幕した2022シーズン。例年通り広島県テージャスランチが開幕戦の舞台に選ばれた。

開幕戦でおなじみのIAライダー集合写真では今大会にエントリーしたIAライダー27名の他、おなじみの安喰好二だけでなく、田中弘行、さらに今大会はエントリーしなかった鈴木健二も加わって賑やかな絵となった。

レース週は金曜日、土曜日に雨。さらに最高気温も10度まで冷え込み、厳しいコンディションが予想された。コースは去年の逆回りに近いレイアウトで作られ、モトクロスコースと草原、ウッズを繋いだテスト。ルートでは沢を下りで使い、すり鉢などの渋滞が起きそうなセクションは当日カットの判断が下された。

釘村、意地のべストラップも
馬場亮太が完勝

IAの1列目には飯塚、保坂の他にゼッケン3とつけた釘村忠が並んだ。

計測なしの1周目を終え、2周目。トップタイムを叩き出したのは馬場亮太。昨年の最終戦SUGOでJECに初参戦し、いきなり釘村と好勝負を演じてみせた馬場の実力はホンモノだ。しかし3周目には「攻めすぎてテストの下りで回転してしまった」というように、タイムが伸び悩み7番時計。暫定トップを田中教世に奪われてしまった。

そこで馬場は作戦を変更。曰く「ミスしない走りに切り替え、エンジンのマッピングを予め用意していたマディ用のものに変更しました。全体的に濃くしてあって一つ高いギアで走るようにしました」そうすることで4〜5周目では再びトップタイムを記録し、下位との差を広げていった。

しかし好天で気温も上がり、思いの外コースコンディションの回復が早かった。4周目のテストではもはやベストコンディションに近い状況になり、どんどんとペースが上がっていく。

そこで真価を発揮したのが、釘村だった。6周目に1番時計を出すと、7周目には本日のベストラップ6分27秒88を記録。釘村はここで4番手。3番手につけていた田中を抜けそうな勢いだったが、ラストラップとなる8周目のテスト中に痛恨のフロントブレーキ破損。最終周は10番時計と沈み、6位に甘んじた。

「今年はマシンを200ccに乗り換えてみました。去年までは300ccだったので、まだうまく乗り方の切り替えができていないところがありますね。ですが、コンディションが回復してくるとともに、スロットルを全開で乗るように意識を変えてみたらタイムが上がってきて、好感触を掴むことができました」(釘村)

昨年のチャンピオン飯塚は3位。前半、中盤と3番時計が続き、終盤には釘村や榎田がペースアップしてきたが、前半のリードを守り切った。「マディは最初の2周くらいで、あとは最高のベストコンディションでしたね。すごくプレッシャーのある開幕戦だったんですけど、落ち着いて走っていい順位で終えることができたのでよかったです」(飯塚)

2位は田中。前半から好ペースでスタートするも後半コンディションが回復してから追い上げのライダーに揉まれながらも、逃げ切った形。
「今回はCRF450Rで参戦しました。RXにも乗ってみたのですが、やはりタイムアタックとなるとモトクロッサーがいいですね。最初コースがヌルヌルで2周目のテストで転んじゃったんですけど、なぜかトップタイムが出てて、飯塚くんと争って楽しんでいたら、後半になって急に忠(釘村)がペースアップしてきて。今年は仕事と相談しながらスポット参戦で、九州大会に出られたら、という感じですね」(田中)

優勝は馬場。後半になってからも2番時計をキープし、前半に築いたリードを保ったまま2位の田中に26秒もの大差をつけてJEC初優勝を飾った。
「今年はマシンをYZ250FXにチェンジしたんですけど、やっぱりモトクロス時代に4ストに乗っていたので、乗りやすいですね。エンジンブレーキが効いてくれるので攻めやすいです。今日は兄の大貴がサポートで来てくれていて、パドックで順位を教えてもらいながら一緒に作戦を考えて走りました。シーズンオフにはトライアルIAライダーのスクールに行ってトライアルの練習をしたり、モトクロスを引退してからほとんどバイクに乗ってなかったので、ランニングや筋トレなどトレーニングをして体作りをしてました」(馬場)

4位には榎田諒介。ペースが伸び悩んでいたが、最終周に1番時計(釘村のべストラップに次ぐタイム)を叩き出した。5位は保坂。数年ぶりに4ストにチェンジしたマシンに馴染めないのか、表象台に一歩届かなかった。IAルーキーの若手・酢崎は8位に食い込んできた。

IBルーキーがクラスを圧倒

IBクラスはなんと昨年NAでチャンピオンを獲得した向坊拓巳が優勝。2位に1分30秒もの大差をつけ、余裕の勝利だ。3周目だけ2番時計だったものの、他すべての周回で1番時計を記録した。
「マディはあんまり得意でないので、途中からコンディションが回復してくれてよかったです。天気が味方してくれました。最近は榎田さんやJNCCのAAライダーと一緒に走らせてもらっていて、よい練習ができています。長いテストコースにも強くなってきた気がしますね」(向坊)

NAクラスを制したのは丹羽洋介。「1周終わって泥を落としていたらリアショックのプリロードが緩んでサスがカタカタ動いてしまっていて、サグを出し直して、次はキャブのホースに泥が詰まって調子が悪くなって、最後はリアタイヤのパンク。トラブル続きのレースでしたが、なんとか優勝することができました。10分でチューブ交換してオンタイムを守れたのがよかったですね」と整備力の高さも併せ持つ総合力の高さをアピール。

NBは塚越智也。「ラスト2周で0.5秒差という僅差のレースだったんですけど、なんとか勝ててよかったです」。

そしてウィメンズでは太田晴美。「今年はGASGASのMC125をエンデューロモディファイして使ってます。鉄フレームが柔らかくてRGサスペンションさんのサスもいい感じですごく乗りやすいです。足つきがいいのでマディではとても恩恵がありました」。

次戦、第2戦は村田SUGO2デイズ。4月16日〜17日で開催される。

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