JEC Rd.1 村田SUGO2デイズエンデューロ速報 例年より走りごたえ増、馬場亮太が強豪から抜きん出て圧勝へ

PHOTO/今井光希

2024年よりJECプロモーションから株式会社グリズリーに運営母体が移管された、全日本エンデューロ選手権(JEC)。開幕の地は例年の広島から、宮城県仙台の村田SUGO2デイズエンデューロへ。同レースは、2002年から始まった歴史のあるエンデューロで、元々は日本でISDEへ参戦するための足がかりとなるような啓蒙的レースだったが、全日本エンデューロ選手権へ組み入れられ、主催が変わり、20年以上の歴史の中で変遷してきた経緯がある。今大会は、さらに「見せる」エンデューロとしてアップデート。エンデューロテストを観客や仲間達から見やすいスポーツランドSUGOのモトクロスコース上に設置、距離も短くタイム差がつきづらいものにすることで上位陣の接戦を楽しめるように設定。ルートはピリッとスパイスの効いた難しさとなっており上級者にとっても走りごたえのあるものになった。

天候はくもり、最高気温22度とエンデューロ日和。村田町の山間に、新しい時代のエキゾーストノートが響き渡る。

IAクラス 馬場亮太がトップランカーを置き去りに

昨年、パワーに劣る2ストローク125ccでタイトル防衛戦にチャレンジした馬場亮太だったが、そのビハインドをものともせず2年連続のチャンピオンに。3年目のタイトルを目指す馬場は今季ヤマハ YZ450FXへスイッチすることになった。

ライバルである釘村忠も、今季はこれまでのBetaからハスクバーナのTE300に乗り換えて心機一転。馬場の3年連続チャンピオンに待ったをかけたいところだが、この新シーズンは渡辺学(JNCCチャンピオン、YZ450FXで参戦)、田中教世(昨シーズン開幕にスポット参戦して優勝、ホンダCRF250Xで参戦)とトップ争いに絡む実力を持つライダーが新しくシーズンフル参戦を表明している。

前述した通り接戦を楽しめるはずのテスト設定だったが、サイティングラップを終えて2周目から馬場は圧倒的なタイムを連発。渡辺、釘村、田中らが1分40秒台のエンデューロテストを一人だけ1分37秒台へ入れる好調ぶり。これに呼応したのが、榎田諒介で1分38秒20と馬場に迫る好タイムを出した。その後も馬場はミスなくエクストリームテスト以外で1番時計を連発。手に負えないスピードで、序盤の内からトップライダーの中から抜きんでていった。第二グループを形成していたのは、渡辺、釘村、田中。これにエクストリームテストでトップタイムを連発する大神智樹が割って入りそうな展開。榎田はエクストリームテストで大きくミスして2番手争いからは脱落してしまっていた。

結果、馬場は12テスト中8テストで1位。2位渡辺は馬場と48秒差で5回目のエクストリームテストのみトップタイムをマーク。3位釘村は馬場と50秒差で渡辺・釘村は僅差の勝負だった。

馬場亮太
「あまり腕もあがらなかったし、乗れていた日だったと思います。エクストリームテストはじわじわ腕があがってきていて厳しい戦いでしたね。序盤大きく差をつけることができたのが余裕になって、うまくいった感じでしょうか。20秒くらい差があれば、一回転んでも大丈夫だと思えるんです。転ばないのがベストですけどね。大きなミスがなかったのもよかったです。2周目がタイムがよくて、あとはキープできたというような感じでしょうか」

渡辺学
「YZ450FXで最後のエクストリームテストはトップタイム出せました。ちょっとエクストリームの走り方がわかってきましたよ。大神がエクストリームテストは飛び抜けて速くて彼を突き放すためにエンデューロテストや、クロステストでタイムをつめるのはムリがあるなと思っていました。どのテストも、若干マージンを残してはいるけれど、450ccではリカバリーが難しいしケガもしやすいから、なかなか攻めきれません。亮太を追うのはやめておきます。亮太は速いです。僕にはまだそこまでのオンタイムの技量はないなと思います」

釘村忠
「完敗ですね……。想像以上に亮太が速かったですよ。あそこまで走れるのってうらやましいなと素直に思いました。明日は、絡んでいきたいな。亮太にとっては、レース自体をコントロール下におけて走れていたと思うので、とても楽だったはずです。もっとひりひりしてほしい! 自分がひりひりしちゃいましたね〜。俺たち第二グループみたいになってたんですが、6人くらいが10秒以内で接戦してて楽しかったです。辛いですけどね(笑)」

IBクラス 出口隼飛が堂々の優勝

全日本エンデューロ選手権のセカンドクラスであるIBでは、出口隼飛がクラスデビューウィン。馬場と同様12テスト中8テストでトップタイムをマーク。すでにIAでも遜色のないタイムでレースをフィニッシュしている。元々、モトクロスでは国際A級のライセンスを持っていてクロスカントリーでも名を上げた実力のあるライダーだ。

2位は42秒差で山口智。2周目のエンデューロテストでは出口に勝るタイムを出して出口に肉薄。安定感のあるラップを刻むことで単独2位へ。3位は田中大貴、クロステストでタイムが伸び悩んだがエクストリームテストでは4周目をのぞいてすべてトップタイムを出すという得手不得手のはっきりした結果となった。

 

出口隼飛
「毎年、クラスがあがるごとにいいライダーがまわりに増えているのを感じます。沢とか、トライアルセクションは僕は苦手なので、上手いライダーを見る度に「こう走ってみたいな」と思わせられるんです。来年IAで走ることだけを考えるのでは無くて、このIBの立場を使って勉強したいです。NBやNAで勉強して来れたことも、今はラッキーだったと思っているんです」

ウィメンズクラス 保坂明日那、ミニホイールながらNBクラスでも上位をうかがう

保坂明日那、松本亜希子がエントリーしたウィメンズクラスでは、大学生ライダーの保坂が勝利。序盤ではNBクラスで14番手を走るほどの好調で、エンデューロテスト2分を切る好タイムを連発。今大会、唯一のミニホイールでの参戦で他より走破性に劣る分、スキルでカバー。タイムを狙いづらいエクストリームテストでも3分31秒というラップでライバルを置き去りにした。

保坂明日那
「サイティングラップのタイムチェックで1分しか残っていなくて、危ない! と思ったんですよ。ルートを速く走らないと、これは遅着してしまうなと。ルートの沢がすごく難しくて辛かったんですが、そういうときは「これは、いつも走っている自分の通学路なんだ」と思い込んで心の平静を保っていましたね。本当にきつい一日でしたね。エクストリームテストはミスをせずに、攻めることを一切せず、転けないことだけを意識して走りました。今年は大学が忙しいんですが、できるだけ全日本に参加したいと思っています」

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