JEC Rd.2 いなべ2デイズエンデューロ DAY1「圧倒的な勝利、釘村忠が開幕の雪辱を晴らす」
全日本エンデューロ選手権は、開幕の広島から会場をうつして三重県いなべスポーツランドへ。KTM東海のホームコースであるこのいなべで全日本が開催されるのは、昨年に引き続き今年で二度目のこと。第1回にあたる2020年大会では、変則的な2日間大会で、どのクラスも2日で1ラウンドレースとしてリザルトが残されたのだが、今回は初の「2デイズ」となり、DAY1、DAY2が独立したラウンドとしておこなわれた。また、KTM東海に在籍するレジェンド、中嶋宏明氏が昨年に続いて総監修したコースは、ピリッとした難しさを内包するもの。2日前の大雨も手伝って、序盤でテスト、ルートともにカットされてしまう部分が出てしまった。
WPスーパーテストと名付けられたデュアルレーン
立体交差は、なんとFMX用ランプを使用した
圧勝時には「思うように乗れていない」と貪欲さをみせる釘村
前述した雨の影響は、会場内の一部の温度計が34度前後をさしていたほどの暑さで、みるみるうちに乾いていった。マディコンディションからの回復が見込まれる場合は、ライダーにとって「前周よりも攻めなくてはいけない」難しさがある。コンディションの回復にタイムをあわせていかなければ、周囲の好タイムにおいていかれてしまうというわけだ。
もっとも、今回はIAにおいては釘村忠が圧倒的なアドバンテージを切り拓いていった。「パドックでは、最初どのくらいタイムがでているのか、どのくらいの順位かわからなかったんです。しかも、今日は身体が思うように動かなくて、もっとつっこめるようなところも無難にこなしていくような乗り方をしてしまっていました。だから、すっかり負けてしまっているのではと思っていたんですが、中盤くらいに順位が判明して、全テストで1番時計をとってるのがわかりました」と釘村は語る。「ホルコムや、フリーマン(共に世界戦トップランカー)がやっていることを、少しトレースできたと思っていて、それがうれしい」とのこと。最終的に、どのテストも譲らず1番時計を奪取したが、最後のスーパーテストだけ4番手タイムであった。
2位争いは熾烈だった。身体の調子がわるいという鈴木健二はタイムが伸び悩むなかで、保坂修一がこれをおいつめていく形。「ここは忠(釘村)が速いのはわかってますし、今日は丸太で前転するし、川で転けてしまうし、ダメですね。3周目くらいで身体の痛みもひいてきて少しタイムも出てきたんですけどね。ここのところ、不摂生もやめて身体を整えてきたのに、よくなかったです」と鈴木。保坂は「去年に比べて、成長できていると思いました。少しは釘村さんとの差も縮んだかなと。なによりベテランの人と比べると、流れるようなラインがまだできていないなって思いますね」と。スーパーテスト前には、2秒とすこしの差で保坂が鈴木をリード。「やれるかぎり、やるつもりです」という保坂が、このスーパーテストでコンマ秒までつめられながらも、2位を守り切る結果となった。
IBは、熊本の富永陽平が、山西利康の追撃を3秒差で振り切って優勝。広島で猛威を振るった酢崎友哉は、チェーンのトラブルに泣かされDNFとなってしまった。NAは向坊拓巳、NBは山本礼人が奪取。ウィメンズには、太田晴美がカムバックウィンを果たしている。