JEC Rd.2 チーズナッツパークDAY1 またしても雨、最悪のコンディションを馬場亮太が逃げ切り

2011年から実に14年ぶりに、全日本エンデューロ選手権が福島県のチーズナッツパークに戻ってきた。実に多様な側面を見せる同コースが新世代の全日本エンデューロとしてどう変わるのか、エンデューロライダーにとって期待が膨らむところ。

今回は2デイズでの開催で、スペシャルテストは1本のみ。その代わりに約5kmほどの長めで走りごたえのあるテストが設計された。このテストを囲むようにルートが設定されており、ルートとテストをあわせると約10kmほどで1周となる。ルートは名物セクションである御柱(下り)や猿山などを含むピリッと難しめの設定で(ただし、IA・IB・NAのみ)、テストは「こんなに爽やかでスピードが乗るテストをここで作れるのか」という声が聞かれるほどのスムーズなものとなった。ただし、もちろん全日本エンデューロ選手権らしくイージーではなく、タイムを詰めるとなるとかなり難しい設定である。

エンジョイBクラスを快走、開幕に続けて優勝の藤岡丈瑠

しかし、エンデューロの場合は今回のように雨が降ってしまうと、そんな難易度設定はあまり関係なくなる。天気予報通り、レース前日の夕方から強めの雨が降り注ぎ、DAY1の土曜日はたっぷり水を含んだチーズナッツパークとなった。今年から原則としてNB・ウィメンズ・エンジョイクラスが午前に走行し、午後にIA・IB・NAがおこなわれる形式だが、そのおかげで午前のレースは大きく荒れることなく、比較的優しいマディのレースとなった。問題は午後のレースである。午前・午後で同じテストを走るため、午後にはかなりの轍が刻まれており、IAクラスといえど1周目から苦戦を強いられることに。さらには、どうにも抜けられないほど走行が困難な轍が出現してしまったことで、一時レースは中断。序盤の2周はキャンセルとなり、3周目からの計測で再スタートという措置がとられることになった。

IAクラス 馬場亮太に保坂修一、勝山聖が肉薄

気温も上昇してシャバシャバだった路面が急速に重土マディになっていった午後のレース、序盤で気を吐いたのは保坂修一だった。保坂は、昨年アンダーパワーの4スト250で参戦していたが、今年から2スト300ccのモトクロッサーにスイッチ。軽量でとてつもないパワーを発揮するマシンに、サスペンションはモトクロスセッティングをベースにした硬めの設定にしているとのこと。マディのレースとの相性が危惧されたが、むしろ当人得意のコンディションということで最初のテストで5分19秒台というスーパーラップをマークして勢いを掴んだ。

ところが2周目にトップタイムを奪ったのは、保坂でも4連覇を狙う馬場亮太でもなく、KTMのビッグボア500EXCを駆る勝山聖だった。モトクロスIAの経歴を持ち、ハードエンデューロライダーとしている勝山にとって難しい路面はお手の物。1周目よりさらに荒れてきた2周目で5分30秒を刻んだ。3周目には馬場が面目躍如の走りを見せ、5分19秒をたたき出して一躍トップに躍り出ると、その後も安定して5分20〜30秒台で周回してDAY1の優勝をもぎ取った。2位は保坂、3位は勝山。昨今、馬場が全テストでトップタイムを奪うことも少なくないが、このチーズナッツパークラウンドDAY1は、馬場・保坂・勝山で分け合った形だ。保坂は終盤含めて3つのテストを制し、トップタイムの数では馬場を上回る結果となった。なお、オンタイムで走りきったIAは10名、9名が遅着、5名がDNFという結果が厳しいコンディションを物語る。

馬場亮太

「テストで2回転んでしまいました。ルートでもスタックしたり、谷側に倒れてしまったり……ルートもテストもきつくて、手も腰も限界に近いです。今日ゆっくり休んで、明日はもう少し攻めれるんじゃないかと思います。まだタイムを詰める余地はあると思っています。ヨシカズ(保坂修一)も今日は速いので、うかうかしてられませんね」

保坂修一

「1番時計を3本獲ったってコトで、RB(馬場亮太)に勝ったって言えますかね(笑)。1本めのテストと終盤のテストが良かったのですが、中盤のペースはタレが出た感じです。今年はGASGASのMC300に乗っていますが、とにかくマシンが走りすぎるのでテストはいいんですがルートが辛い。僕の体力が持てば、成績を出せるんじゃないでしょうか」

勝山聖

「遅着無しで完走できたのが嬉しいですね。マディは得意なんで、ルートの難所とかも楽しいなと思えるほどでした。5周目から体力的にきつくて抑えるので精一杯、6周目には転倒してしまったことでRBや保坂くんたちに差を開けられてしまいました。ラスト2本まで攻め切れればもっと上にいけたかなと思います。1番時計を1本獲ったので、とりあえず目標は達成ですね」

IB・NA・W オンタイムこそ正義、尾張展央が1勝

IAですら厳しい結果だったこのコース、IBでオンタイムフィニッシュしたのはわずか3名。遅着8名、11名がDNFである。昨年NAを圧倒的な実力でねじふせた延原由祐が開幕戦でも圧勝し、チーズナッツパークのDAY1もみごとに全テストでトップタイムをたたき出す余裕を見せた。しかし、なんと延原は4分のペナルティで最終的なリザルトは3位に繰り下げ。1位はオンタイムで走りきった尾張展央の手に渡った。2位の島田優も1分の遅着が原因で優勝を逃す結果に。

NAクラスはオンタイムでの完走者なし。ただし、遅着によるペナルティは順当に加算され、特に順位の入れ替わりはなく、清川洋祐が優勝。2位樽谷朋佳、3位河原廉弥で広島勢の尾張・樽谷・河原が開幕戦に続いて好リザルトを残した。

ウィメンズクラスでは、唯一オンタイムをきめた木下夏芽が単独トップ。海外ハードエンデューロの経験、そして鍛え上げたスピードによって圧勝の結果である。

NBクラス2勝目の鈴木心

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