JEC Rd.4 日高2デイズエンデューロ DAY1 3位まで1秒差の激戦を制したライダーは……

全日本エンデューロ選手権の中でも唯一公道を活用するクラシックな大会、日高2デイズエンデューロ。ライダーの全てが問われるこのレースでは、数々のドラマが生まれてきた

IA チャンピオン不在ながらも、三つ巴の好バトルが展開

2デイズの大会を2ラウンドと数え、全7ラウンドで競われる全日本エンデューロ選手権も、この日高2デイズエンデューロの初日で折り返し地点を迎えた。2023年のチャンピオンであり、目下ポイントリーダーでもある馬場亮太は負傷によってこの日高を休場することに。公道を使用するレースであることから、ランキング2番手釘村忠はいつもとは異なるマシンFE350(ハスクバーナ)を用意、また今季初タイトルを狙う3番手渡辺学はWR250F(ヤマハ)での参戦となった。

レースはこの二人の戦いに絞られるかと思いきや、1本目のクロステストでトップタイムの釘村に肉薄する形で勝山聖が2番手タイムを刻み好発進。渡辺は出遅れた形で3番手タイム。続くエンデューロテストでは若手の保坂修一も気を吐きトップタイムを繰り出し、誰が勝ってもおかしくない実力者が入り乱れる幕開けになった。3本目は日高ではスピードが出ることで知られる西山林道を使ったエンデューロテストだったが、ここで勝山はクラッシュで優勝争いから脱落することに。一方、手堅く攻める釘村を保坂が執拗に追う。

ここまで振るわなかった渡辺だったが、4本目のテストから調子を取り戻し始めて、6本目ふたたび訪れた西山林道のエンデューロテストではリスクを冒してでもタイムを出しに行く姿勢をとってなんと前回よりも40秒も(7分34秒→6分53秒)タイムを縮めて一気にトップの釘村に6秒差まで詰め寄った。これをプレッシャーと受けとったか定かではないが、釘村は最後のテストで軽いミスが続き、渡辺が1秒30差で逆転優勝を飾った。さらにその0.54秒差で保坂が3位に。手に汗握る3人のデッドヒートであった。

 

渡辺学

「今日初めて乗るバイクだったんですが、僕の詰めが甘くて1ラップ目にあまりうまく走れなかったんです。2ラップ目に入る前にフロントサスペンションの突き出しを0から8mmに変えて、ハンドルを少し引いて、サスを少し柔らかくして……。トップとの差は10秒くらいあったのでこれはきついなとは思いつつも、チャンピオンを獲るためにここ北海道までやってきているので残り2つのテストをしっかり攻めました。忠のほうがよく走れているなと思ったし、忠が2回テストで転んだことで僕が勝てたんだと思いますが、明日はちゃんと勝負をしてレースで勝ちたいなと思っています」

釘村忠

「楽しかったですけど、悔しいですね。今回は勝てたレースだと思います。最後のテストまで6秒くらい差があったんですが、ラインをミスして転んでしまいました。西山のエンデューロテストでは学さんに後ろにつかれて大変でした。二人で危ないくらいのところまで攻めていて、何度も声が出てしまいましたよ。100km/h以上は出てるんじゃないですかね、ここに亮太までいたらどうなってたんでしょう。すごいレースでしたね」

保坂修一

「1秒差で負けました……。ここまでトップに迫れたのも初めてなので、とても悔しいです。1本目の西山のエンデューロテストでコンタクトレンズが外れてしまったんですよ。2本目と25秒も差があったので、たらればの話なんですけどコンタクト外れてなかったら1秒くらいいけたと思うんですよね。前の二人を倒してやろうという気持ちだけで走っていたので。今日トップタイムを出せた2本のテストを明日もしっかり攻めて、明日こそトップを獲りたいです」

 

IB 出口隼飛が4連勝

SUGOの2デイズ、広島と3ラウンドを圧勝してきた出口隼飛は初めてこの日高2デイズエンデューロへ参戦。SUGOも広島もモトクロスに慣れ親しんできたライダーには相当タイムを出しづらいレースだが、こと日高はさらにエンデューロに特化したラウンドだ。延々とスロットルを開けられる林道や、ボコボコでまっすぐ進むことすら難しいテストなどがライダー達の行く手を阻むため、人工コースであるモトクロスコースだけ走ってきたのでは対応できない難しさがある。出口はクロスカントリーの経験こそ豊富だが、オンタイムエンデューロの経験は少なく、この日高では苦戦が予想されたが始まってみればすべてのテストで1番時計をマークした。

 

2位争いは藤村昂矢、田中大貴、池田幸治に絞られることに。3人共に10番手以下のタイムまで落ち込んでしまうテストがあり、いかにミスを少なく他のテストを攻めきれるかにレースの行方は委ねられることに。結果、藤村が2位、田中は3位と順当なリザルトとなった。

出口隼飛

「初めての日高ですげぇなぁと思いました。どこまで突っ込んだらいいのかわからなくて、とにかく楽しかったです。速度はモトクロスやってきたので平気なんですが、その先どうなっているのかわからなくて、経験値が足りないなって思いました。バイクもいつもと違って250ccだったので、コースもバイクも慣れていなかったですね」

藤村昂矢

「出口さんには負けてしまったんですが、日高は好きなんで2位でよかったなと。三島のエンデューロテストが難しくて苦手でしたね。西山とエクストリームテストで明日はタイムを詰めにいきたいと思います」

田中大貴

「最後の西山のエンデューロテストまで4番手だったんですが、そこで池田さんがはまってくれてギリギリ3位に入れました。超僅差でしたね(0.07秒差)。スピード系のテストは苦手で、なかなか難しかったです」

ウィメンズクラスはカナダから参戦のミア・ハッキングが勝利。明日は雨天が予想されていたが、天気予報は好転しはじめている。

Follow me!