JEC Rd.4 日高2デイズエンデューロDAY1 トップ3が30秒差の激戦を制したのは王者・馬場亮太
全日本エンデューロ選手権の中でも唯一公道を活用するクラシックな大会、日高2DAYSエンデューロ。ライダーの総合力が問われるこのレースでは、今年も数々のドラマが生まれた。初日はドライコンディションで始まったものの、レース終了間際から雨が降り出し、マディでのサバイバルが予想されるDay2への期待と緊張感を高めた。
IA チャンピオンシップを占う三つ巴の激戦、制したのは馬場亮太
2025年シーズンも後半戦に突入し、チャンピオン争いが激化するIAクラス。ポイントリーダーの馬場亮太は、公道を使用するためにいつものヤマハYZ250FXではなく、今回は2012年式のWR450Fで参戦。それを追う保坂修一も普段のGASAGS MC300とは異なりEC250Fでエントリー。ランキング3位太田幸仁はISDEイタリアから戻ったばかりで、コンディションは絶好調であった。またダークホースとしてランキングこそ7位ではあるものの、昨年目立ったスピードを見せた勝山聖は、愛車KTM 500EXC-Fが不調だったため借り物の500EXC-Fで参戦となった。
レースは序盤から激しく動いた。1本目のゲレンデクロステストで馬場が好スタートを切る一方、勝山はスリップダウンで出遅れる。しかし続くテクニカルな三島エンデューロテストでは勝山が圧巻のトップタイムを叩き出し、一気に挽回。さらに長丁場の西山テストでは保坂が最速ラップを記録し、この時点でトップ3が10秒差以内にひしめき合う大接戦となった。
勝負の分かれ目となったのは、1周目終盤のジュナイトエクストリームテスト。ここで保坂がミスで後退し、トップ争いから一歩後退。対照的に、徹底したイメージトレーニングで臨んだ馬場がこの難セクションで最速タイムを記録し、頭一つ抜け出すことに成功。最終的に、要所を締めた馬場が、2位勝山に24秒差をつけてDay1を制した。3位保坂も首位から30秒以内と、トップ3が僅差で並ぶ手に汗握るデッドヒートであった。
馬場 亮太
「久しぶりにヒリヒリしましたね。(勝山、保坂と)3人で10秒差ぐらいでずっといて、しびれました。マシンは2012年式のヤマハWR450Fで重いですが、ゲレンデではずっしり安定していて、アンダーが出そうになるくらい直進性が強くて走りやすかったです。ただ、三島エンデューロテストでは思っていた通りマシンが重くて難しかった……。ジュナイトはイメトレを重ねて、立つポイントと座るポイントを考えながら走ったのがうまくいきました。先週このマシンで雨の中を試しに走ったらこれでは全然無理だと思ったので(笑)、重すぎて滑るのもコントロールできない。マディコンディションになる明日は頑張らないで、ちゃんと完走することを第一に考えます。欲張るとダメ。2人(勝山、保坂)は雨で速いので、そこを追っても難しいですよ」
勝山 聖
「気合が空回りしてしまいました。最初のゲレンデクロステストでのスリップダウンや、西山エンデューロテストでのオーバーランが痛かったです。1時間くらい空き時間がレース中にあったので西山エンデューロの動画を見てたのですが、そのせいで空回ったところもあったかな……。崖落ちはしなかったんですが、コースアウトしてしまいました。マシンは代車で、エンジンが普段よりトルクがあったので戸惑いました。でも、三島はノーミスで決まりましたし、最近はガッと開けるよりスムーズな走りを意識しているのがタイムに繋がってきていると思います。明日の雨は得意なので良い結果を出したい。気張らず、楽しむようにリラックスして、結果を出して『楽しかった』で終われるようにしたいです」
保坂 修一
「めちゃくちゃ悔しいです…。前半はトップだったのに、ジュナイトエクストリームテストでめちゃくちゃとっちらかって、崖落ちっぽいミス。それまで貯めていたマージンが全部なくなって、逆に離されてしまって……。巻き返したいし差もつけたいという『欲』で力んでしまいましたね。日高は力まずに走るのが重要だと分かっていたんですが……。でも、明日の雨はもう、めちゃくちゃ嬉しいです、僕の中では。ガッツリマディの仕様にしてきてるので、ちょっと本領発揮したい。カツヤマンと協力してでも(馬場選手のチャンピオン決定を)阻止したいですね!」
IB 延原由祐が全テスト制覇で圧勝
IBクラスは、昨年の覇者でもある延原由祐が圧巻の走りを見せた。延原はDay1の全テストでトップタイムを記録するパーフェクトウィンを達成。2位の池田幸治に1分以上の大差をつけ、独走態勢を築いた。2位には池田幸治、3位には羽田真吾が続いた。
延原 由祐
「去年は初めてで転倒もあったので、今年はコケたらもったいないと、とりあえずコケないようにペースは維持しつつ走った感じです。でも抑えてもいないし、ちゃんと攻めてはいます。だいぶマシンにも慣れてきたかなという感じですね。今日は転倒もなく、気持ちよく走れました。雨のレースも過去に勝っているので、そのモチベーションでいきたいです。明日の目標はとりあえず1番時計、全部です」
NAは地元北海道の荻野照平、NBはハードエンデューロトップランカーの大津崇博、Women’sクラスは田中亜実が勝利。明日は雨天が予想されており、マディコンディションが各クラスの勢力図にどう影響するのか、注目が集まる。