JEC Rd.5 ルスツ2デイズエンデューロDAY2「荒れたコースを制し、飯塚翼が総合優勝でチャンピオンに王手」

予報通りDAY1の午後から好転した天気のまま、DAY2も太陽が顔を出し、さわやかな風も吹いて快適なレースとなった。DAY1に初優勝を飾った飯塚翼は、タイヤ交換なしでDAY2に挑んだが、ライバルとなる保坂修一も鎖骨骨折から2週間という体調を考慮してタイヤ交換をしていないため、条件はイーブンだ。

やはりタイム設定はA。前日のB設定よりも周回時間が短く設定されたが、大きな影響もなく、ほとんどのライダーは余裕を持ってレースを運んでいたように見えた。

幼少の頃から切磋琢磨するライバルが
チャンピオンシップを争う

DAY1の結果をみて飯塚は最初からペースを上げた。コーナーに轍やバンクが多くできてきて、飯塚好みの路面状況になってきたと言う通り、レースは飯塚リードで始まった。2周目のイゾラエンデューロテストを終えた時、保坂が飯塚を抜いて暫定1番手に浮上したが、飯塚はそれを見て気合を入れ直し、さらにペースを上げた。結果、9秒54差でDAY2も優勝を飾り、2日間を総合優勝。チャンピオンシップでも保坂に6ポイントのリードを築き、ランキング1位に浮上した。釘村忠や鈴木健二、さらにはモトクロスIA勢のスポット参戦も予想される最終戦SUGOを前に、この6ポイントは非常に大きい。

「昨日ヨシカズ(保坂)のペースが思ったよりも速かったので、今日は昨日よりも攻めて走りました。特にイゾラのエンデューロテストは速くて、ライブリザルトを見ながら、もっと攻めないとダメだと思い、だんだんペースを上げていきました。5秒くらい差をつけられちゃっていたので、負けてるとしても1〜2秒くらいに抑えたかったです。僕は荒れてる路面が好きなので、後半にコースが荒れてきたので、気持ちよく走れました。SUGOもモトクロスコースが荒れてくれれば、いいタイムが出せると思います」と飯塚。

一方、DAY1後半に追い上げたがわずかに飯塚に届かなかった保坂は、最初からハイペースで攻めた。しかし、周回が進むにつれて荒れて成長したギャップが折れた鎖骨に響き、ベアエンデューロテストではなかなかタイムを詰めることができなかった。しかしイゾラエンデューロテストでは下りのスムーズさを発揮し、1番時計を連発。2周目には5分フラットというベストリザルトも記録した。2つのテストを含んだ4周で合計8回のテストがあったが、ベアエンデューロテストでは飯塚がすべて1番時計、イゾラエンデューロテストでは保坂がすべて1番時計を叩き出すという拮抗した展開だった。

「やれることはやったという感じです。思った以上にタイムが伸びなかったですね。特にベアエンデューロテストではギャップがひどくなってきて、辛いレースでした。SUGOまでにはまだ時間があるので、全治とまではいかないのですが、少しでも怪我を直して逆転チャンピオンを狙いたいと思います」と悔しさをにじませる保坂。2人は保坂が50cc、飯塚が85ccに乗ってモトクロスをやっていた時からの友人。「(飯塚は)年上ではありますが、良き友であり、一番勝ちたい相手。舞台がエンデューロになって、また一緒に切磋琢磨できるのが最高に嬉しいんです」と語る。

3位に入ったのはDAY1に続き、内山裕太郎。終盤、わずかに大神智樹に詰められるも、前半に築いたリードを守り切って25秒の余裕をもってレースを終えた。

「後半コースがだいぶ荒れてきて自分のペースがあげられなかったんですけど、マシンが絶好調だったので、なんとか入賞できました。やっぱりオープンエンデューロはいいですね。WR250Fはオープンエンデューロでしか乗らないので2年ぶりだったのですが、FXとはまた違った面白さがありますよね。JNCCにかなり似たテストコースだったので、上手く走ることができました」と内山。

また、地元・北海道勢ではGASGASにマシンチェンジを果たした佐伯竜が総合11位、そしてKLXで挑んだ沼田誠司が総合15位という結果。

IBではDAY1に引き続き酢崎がすべて1番時計。2日間を通じて一度も譲らず、パーフェクトウィンを達成。16歳にして、しかもモトクロスあがりでもない酢崎はもはや飯塚や保坂の背中を捉え始めている。

「昨日よりもゲレンデが荒れてきて走りづらかったんですけど、自分なりにラインをいろいろ変えてみたら、昨日よりもさらに7秒くらいタイムを縮めることができました。ですが、IAのトップ3には届きませんでした。いまモトクロスの関東戦にでているので、SUGOではその成果を発揮したいと思います」と酢崎。

NAではDAY1を優勝した向坊拓巳がまさかの1テスト目でマシントラブルに見舞われ、無念のリタイヤ。DAY1で2位の森慎太郎と、DAY1で3位の泉谷之則がバトルを繰り広げた。ゼッケン番号が近く、同じグループで回っていた両者はタイムチェック待ちでお互いに情報交換を行い、ラインを教えあっていた。

結果、泉谷が後半に追い上げ、逆転優勝。しかし、2日間の合計タイムではわずかに森がリードしており、総合優勝は森の手に。

「本当は向坊くんに勝って優勝したかったんですけど、NAで初優勝なので、こみ上げるものがあります。今日の朝にリアサスを硬めにしたら、すごく走りやすくなりました。あと、いつも同じラインばっかりトレースしていたのですが、今日はいろいろラインを変えてみたら後半タイムがあがっていきました。SUGOでしっかりまとめることができればIB昇格も見えてきたので、頑張ります」と泉谷。

「泉谷選手はライバルですけど、ラインを教え合いながら楽しくレースができました。DAY1優勝の向坊くんがリタイヤしてしまって、途中でライブリザルトを見たら1番だったから、これはいけるんじゃないかと思ったら欲が出てしまってミスが目立ち、最後のテストでは転倒してしまって、逆転されちゃいました。でも総合優勝できて良かったです」と森。

NBはDAY2、わずか2周、4回のテストで勝負が決まるシビアなレースとなったが、DAY1に引き続き高橋吟が圧勝。WR250RでIBの2〜3番手に匹敵するタイムを連発した。クローズドではKTMの300EXCに乗る高橋、SUGO2デイズでは本来の走りを見せてくれるはずだ。

「JECは初出場だったのですが、めちゃくちゃ楽しいですね。今日もベスコンだったので、最後まで気持ちよく走ることができました。WR250Rも初めて乗ったんですけど、ポテンシャルの高さにびっくりしました。他のレースだとまたルートの難しさも出てくると思うので、それも楽しみですね。ぜひ来年は日高も出てみたくなりました」高橋はスピードもあるが、難所も得意とするオールラウンダーだ。

ウィメンズでもDAY1優勝の保坂明日那がトラブルなくしっかり走り切り、総合優勝。また、承認クラスもDAY1に続きBクラスは島貫章が、Cクラスは後藤純、CWクラスは木村美嘉が優勝した。

「昨日はレースの後かなり身体がバキバキで、疲れていたんですけど、今日の方がいい感じに攻められました。特に最後のイゾラエンデューロテストはうまく乗ることができて、タイムを一気に15秒以上縮めることができたので、気持ち良かったですね。チームの雰囲気がとても良くて、初めてのオープンエンデューロでしたが、緊張することなく走りきることができました」と保坂。チーム「ビバーク大阪」は保坂修一(IA2位)、山本礼人(NB3位)、泉谷之則(NA2位)の3人でクラブチーム優勝も果たしている。

島貫は「1位を獲れて、本当に嬉しいです。これでもう悔いはありません」とコメント。島貫が所属するチキンレーシングのパドックには、NB高橋吟やNA野頭勝敏らがおり、いつも笑顔で溢れていた。

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