JEC Rd.5 日高2デイズエンデューロ DAY2 釘村忠 VS 渡辺学。心理戦へもつれ込む
天候は曇りのち晴れ。最高のエンデューロ日和となったHTDE2日目は、いよいよレースに慣れてきたモトクロス経験者の逆襲に
IA 勝負は西山EDテストにあり
日高2デイズエンデューロでは毎年のように使われている本格エンデューロテストが西山だ。長いストレートが続く林道や沢で構成されていて人工物がなく、まさに自然の地形を存分に活かした欧州さながらのエンデューロのよう。日高に初挑戦するトップライダーの多くはまず、この西山エンデューロテストに面食らう。DAY1の渡辺学もその一人だった。
渡辺はDAY1の2回目の西山エンデューロテストで釘村から走り方を盗もうと背後にぴったりつける作戦をとった。これが功を奏して渡辺は40秒ものタイム短縮に成功している。実はこういったライダーは渡辺だけではなく、今回この日高に憧れて初参戦してきたモトクロスライダー達も同じだ。彼らは一様に崖落ちやスピードのリスクに対してどこまで攻めていけるのかを1回目ではつかみきれないのだが、コースがわかっている2回目、3回目には一気にタイムを縮めてくるのである。DAY1が終わったあと、渡辺は執念を燃やして西山へ再度コースの下見へ出かけた。DAY2を必勝態勢で迎えるためだ。
7回のテストを走るDAY1とは異なり、テストが5回しかなくチャンスの少ないDAY2。渡辺と釘村はDAY1で1秒差だったことからスピードにほとんど差がないことを認識しており、どちらも前日を上回る攻めの姿勢で臨んだ。どちらかと言えば渡辺にとって勝負の場であったはずのクロステストで釘村がわずか0.2秒に上回る結果を出せば、続く三島のエンデューロテストは渡辺が0.1秒上回るという接戦が展開された。そして迎えた大一番、西山エンデューロテストで釘村はこの2日の走りで林道の新たなテクニックを見い出し覚醒、渡辺に6秒の差を付けて引き離す。
渡辺は、残るエクストリームテストとクロステストで釘村を上回るものの、6秒のビハインドを巻き返すことができず、最終的に1秒84の僅差で今ラウンドは釘村が制した。3位は、やはり日高を初めて走るモトクロス経験者の榎田諒介で、「太田幸仁さんの後ろについて走り方を学びました」とコメント。昨日トップ3の一角を占めた保坂修一はミスを連発してしまい、4位に甘んじた。
釘村忠
「いやー痺れましたね。林道の乗り方をこのDAY2で少し変えたんですが、それがよかったです。亮太(馬場)をこのまま倒したいですね! 丁寧かつ攻めるという感じで、アクセルを開けてコントロールする方法を掴めたと思います。これで1勝できたので、最終戦の大阪でピンピン獲れば僕がチャンピオンになれる目が出てきました」
渡辺学
「楽しかったですよ。相手が忠だし、もちろん悔しいですけど。西山のエンデューロテストは昨日よりも走れてタイムも詰めることができたんですが、それ以上に忠が速かったですね。西山は正直勝てないです……。最後のテストではここで1位獲れなかったら北海道まで来た意味がないなと思って思い切り攻めたんですが、それまでについていた6秒をひっくり返すことはできませんでした。WR250Fでもちゃんと勝負ができたことや、ケガがなかったことはとてもよかったと思います。2位は悔しいけど、仕方がないですね」
榎田諒介
「今日は全体的にいい走りが出来ました。自分、今回はお借りできるバイクが苦手な2ストしかなくて、2スト250で走ったのですが難しかったですね。サスやエンジンのセッティングはしてきてそれなりに乗りやすくはなっていたんですが、結局4ストのようにぶん回して乗ってました(笑)。そういう乗り方で最後のクロステストも結果が出たので、やっぱり回した方が僕には合うみたいです」
IB 出口隼飛が早々にチャンピオンを決める
クロスカントリーやモトクロスではトップライダーとして活躍していた経緯もあり、エンデューロでも相当な成績が期待される出口隼飛だが、このDAY2もIAで6位以内へ入れるタイムで圧勝を遂げている。この5ラウンドをすべて勝利したことで、全7戦・有効ポイント制5戦の全日本エンデューロ選手権IBクラスのチャンピオンに輝いた。残るプラザ阪下の2デイズは仕事の都合で休場するとのこと。
2位争いは昨日に続いて藤村昂矢、田中大貴、池田孝治が熱戦を繰り広げた。田中、池田は1つめのテストで大きくタイムを落としており不安な立ち上がりになったものの、その後好タイムを連発して上位へ浮上。藤村は安定して序盤から2番手タイムが多く、終始2位を守り切った形だ。藤村と田中は14秒差、田中と池田が4秒差と1ミスでどちらもひっくり返る接戦であった。
出口隼飛
「昨日は林道の走り方がわからなくてタイムも伸び悩んでしまったんです。なので釘村さんにアドバイスをもらって、思い切り攻めてみました。それ以外のテストは、お借りしているバイクということもあって正直そこまで攻めてはいません。来年に向けて、課題は多く見つかったのでよかったですね」
藤村昂矢
「昨日今日、楽しく走れてさらに順位がついてきているのでよかったですね。目標はIAに上がることなんですが、日高に来る前にランキング5位だったのでこれでだいぶ順位を入れ替えられたかなと思います。最終戦の阪下は走ったことがないし、丸太も練習していきたいなと思います」
ウィメンズクラスはDAY1に続いてカナダから参戦のミア・ハッキングが優勝。
ミア・ハッキング
「ここに戻って来れてとてもうれしい。また、素晴らしい日本のみなさんに会えて、うれしいです。エクストリームテストはとても難しかったですね。たくさんヒルクライムがあって苦労しました。スピードが乗ってテクニカルなライディングができて、このコースはお気に入りです。日本が大好きだから、また来年もここに来たいと思っています」