JEC Rd.5 日高2デイズエンデューロDAY2 勝山がマディを制し総合優勝! 馬場のチャンピオン決定は最終戦へ

前日の秋晴れから一転、日高2DAYSエンデューロ2日目は、夜半から降り続いた大雨と暴風により、過酷なマディコンディションでの戦いとなった。強風でコース上の倒木や、テントが倒壊するなどの被害も発生。安全確保のため、主催者は早朝からコースの安全確認と再設定を行い、スタートは10時にディレイ。テストも三島エンデューロテストとゲレンデクロステスト2回の計3本に短縮されるサバイバルレースとなった。

IA 酢崎友哉がDay2初優勝、総合優勝は勝山聖。馬場のチャンピオン決定は最終戦に持ち越し

Day1を終えトップ3が僅差でひしめき合う中、迎えたDay2。ヘビーマディと化したコースはIAクラスの勢力図を大きく塗り替えた。

まず、Day1トップで年間チャンピオンに王手をかけていた馬場亮太にこのコンディションが牙をむいた。普段使っているマシンに比べ、やや重く難しいと懸念していた日高用の旧型マシンが、滑りやすい路面でコントロールを失う。

一方、Day1で2位につけていた勝山聖は、この状況で冷静なレース運びを見せる。「ノーミスで転ばないことに徹した」という言葉通り、派手さはないものの着実にラップを刻んだ。転倒するよりは、と1周目のテストでは3回エンストさせてまで通過する慎重な走りを見せ、その後も焦らず立て直す精神的な強さで上位をキープ。Day1を3位で終えた保坂修一も、得意のマディコンディションで安定した速さを披露。馬場が崩れる中、勝山と保坂が着実に総合順位を上げていった。

そしてこの日、最大の輝きを放ったのが伏兵・酢崎友哉だった。Day1を4位で終えた酢崎は、このヘビーマディで覚醒。他のトップライダーが12分台で苦しむ中、ただ一人11分29秒という驚異的なタイムを叩き出し、Day2のウィナーに輝いた。元々マディの厳しさに定評がある成田モトクロスパーク育ちということで強い印象はあったものの、ここまで圧倒的な展開を見せたのは初めてのこと。

最終テスト、馬場はエンジントラブルにも見舞われ万事休す。Day2を10位で終え、総合5位まで順位を落とした。対照的に、最後まで堅実な走りを見せた勝山が総合で逆転優勝。保坂が総合2位、そしてDay2で圧巻の走りを見せた酢崎が総合3位にジャンプアップする結果となった。Day1のインタビューで馬場のチャンピオン決定阻止を宣言していた勝山と保坂が、まさに有言実行の走りを見せ、チャンピオンの行方を最終戦SUGOへと持ち越させた。

酢崎友哉

「得意な路面でやってやったという気持ちです。最初のテストから調子がよくて、2本目も3本目もやってやるという気持ちで一番最初にテストを走りました。3本目のテストで見せたコーナリングは、これまでの人生で最高のコーナリングでした。エンデューロで速くなるためにモトクロスにも取り組んでいますが、来週の名阪(全日本モトクロス選手権)も頑張りたいです」

 

勝山聖

「総合で1位になれるとは思ってなかったです。今日はノーミスで転ばないっていうのに徹してたんで、攻めきれてはいないんですけど、結果に結びついて良かったです。1周目のテストで3回エンストしてしまったんですが、そこから立て直せました。去年は崖から飛んでしまったので、そのリベンジができて本当に良かったです」

保坂 修一

「まさに昨日の宣言通り、なんとか馬場選手のチャンピオンをみんなで阻止できた感じです。今日は酢崎選手という新たなライバルも出てきて、僕の中では予想外でしたね。下からどんどん上がってきてくれると、僕も頑張るきっかけになるので嬉しいです。最終戦も頑張ります」

馬場 亮太
「(Day2は)1個目のテストで転んで、2個目の三島は重さに翻弄されて、最後のテストはエンジンが止まっちゃって……。悔しいですけど、まあ、しょうがない。酢崎選手が速かったですね」

IB 延原由祐が2日間完全勝利。羽田、池田が続く

IBクラスはDay1の圧勝の勢いそのままに延原由祐がDay2も制し、2日間の総合優勝を飾った。Day2もほとんどのテストでトップタイムを記録したが、「今日の目標はオール1番時計だったんですけど、最後の最後で転倒しちゃいました」と、完璧なレースとはならなかったことを少し悔やんだ。しかし、「(馬場)亮太くんにタイムで勝つという今年の目標は、形はどうあれ達成できたので良かったです」と笑顔を見せた。来季はIAクラスでの活躍が期待される。

総合2位には羽田真吾が入った。「去年は全然ダメだったんですけど、今年は(延原)由祐に教えてもらったのがポイントになったのか、思った以上の成績でした。走りとしては、とにかくコケないようにだけ考えて無難に走りました」と、チームメイトとの練習の成果を語った。

総合3位は池田幸治。「ISDE帰りで、レースモードというよりはすごく落ち着いて走れたのが良かったのかなと思います。セッティングの詰め方も見えてきたので、次戦のSUGOも楽しみです」と、ベテランらしい冷静な走りを振り返った。

NAは荻野兄弟がワンツーフィ-ニッシュ

NAクラスは、昨年のNBチャンピオンである荻野照平がDay1、Day2ともに制し、総合優勝。2位には実の兄である荻野鉄平が入り、見事兄弟でのワンツーフィニッシュを飾った。

荻野照平
「去年NBで出て、今年はNAに上がりました。昨日はドライで走りやすかったんですけど、今日はどしゃ降りで厳しかったですね。特にゲレンデがしんどかったです。兄のタイムは意識していましたが、気にするとミスするので転ばないように楽しく走りました。西山林道はハイスピードでちょっと怖いですが、一番好きなセクションです。北海道のライダーなので走り慣れているのが良かったのかもしれません」

NBは大津崇博と鈴木心がワンツーで昇格を目指す

NBクラスはDay1でトップに立った大津崇博がDay2も制し、総合優勝。2位には鈴木心が入り、見事ガミーレーシングでワンツーフィニッシュを飾った。大津はJECに馴染みのない顔だが、全日本ハードエンデューロ選手権のトップランカーでスピードも併せ持つ希有なライダー。レース後、二人は「マジで悔しいっす!(鈴木)」「いやいや(笑)。でも一緒にIAまで行きたいですね(大津)」と、ライバルとして、そして仲間として互いを称え合った。

大津崇博

「初の日高だったんですけど、日高ロックスとは全然コンディションが違って、石と土の感じで……。でも楽しく走れました。来年はNAに上がって、ゆくゆくはIAを目指したいです」

鈴木心
「マジで悔しいっす。このタラちゃん(大津選手の愛称)に負けたのが……。次こそは負けないように、お互いIAまで行きたいですね」

Women’sは田中亜実が日高を制覇

Women’sクラスは田中亜実が2日間を制し、見事総合優勝を果たした。「ヤマハTT-R125というミニバイクなので、ギャップやガレが難しかったんですけど、その分足が着くのでトコトコ行けて、2st85ccより良かったかもしれないです」と、マシン選択が功を奏したことを語った。

田中亜実
「初の日高だったんですけど、すごく楽しかったです。お父さんと一緒にこの大会に出られて、お父さんも完走できて本当に良かったです。マシンは普段KTMの85に乗っているのですが、公道を走れないので、今回は監督の大神選手にTT-Rを借りて、お父さんに公道仕様にしてもらいました。昨日のゲレンデと西山林道が特に楽しかったです」

 

インターバルを経て秋の日高で後半戦へ突入した全日本エンデューロ選手権だが、次は大阪のプラザ阪下で2デイズの最終戦。いよいよフィナーレを迎える。

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