JEC Rd.7 誰も寄せ付けない強さ、馬場亮太が全日本タイトル3連覇
差の付きづらいハイスピードなレーストラックであるにも関わらず、大阪大会デイ1は馬場亮太の圧勝に終わった。その後のインタビューでも手に負えないとのコメントが多かったが、最終ラウンドは待ってはくれない
IA 限界を超えて攻めた釘村、したたかに走る渡辺。それでも馬場はプレッシャーをはねのけた
大阪大会のデイ2でタイトルが決定するIAクラス、デイ1が始まる前までは渡辺学が一歩リードしている状態だったが、このデイ2を迎えるに当たって状況は馬場亮太の追い風に。釘村忠は自力でのチャンピオン獲得こそ無くなったものの、いまだ高い可能性が残っており、ほぼこの3名のうち「勝ったライダーがチャンピオン」というヒリヒリした状況が続く。デイ1は馬場の圧勝、デイ2で雨が降ったり状況が変わることもなく、渡辺・釘村にはなんらプラスに働く要素は無かった。
それでも釘村は2つ目のテストで馬場を上回るトップタイムをマーク。一縷の望みをかけて自らの限界を超えたのか、3つ目のテストで破綻してしまう。トップライダーが手前の小さなギャップを利用して飛び越えていた丸太セクションで釘村はクラッシュしてしまい、鎖骨を折ってリタイア。田中教世によれば「たまたまそのラップは、ギャップの形が変わっていたように思いますね。それに気づかなかったのかもしれない」と語る。
馬場はデイ1を上回るようなタイムを見せることは無かったが、それでも渡辺らを引き離すには十分なスピードで釘村に一度だけトップタイムを奪われた以外は、全テストで1番時計をマークしてデイ2も圧勝。2022年、2023年に続いてチャンピオンとなり、全日本エンデューロ選手権IAクラス3連覇を遂げた。
2位争いは釘村が抜けたものの、田中教世が奮闘して渡辺とデッドヒートを繰り広げた。終盤は1秒ほど田中がリードしていたが、渡辺がスーパーラップで逆転を狙うプレッシャーを背景に田中は転倒してしまい10秒ほどのロス。これで渡辺に軍配が上がることに。
馬場亮太
「3連覇、めちゃくちゃ嬉しいです。今年はライバルが強力な人たちばかりで、いつものメンバーに加えて学(渡辺)さん、教世(田中)さん、榎田くんらがいたし、バイクも変更したりといろいろ不安が多かった中で勝てたのが嬉しいです。JECに出始めた年から、ババナショックスで全日本モトクロスのチームを運営していることから、なかなか乗る時間が取れない3年間でした。でもメンバーに教えることで、成長できていることも多いんですよ」
渡辺学
「ラスト1周で2位まで上がれました。教世くんとの46歳対決は楽しかったですね。同級生には負けられないなと思って(笑)。亮太(馬場)は僕らより1テストにつき3秒くらい速いので、まだまだ速く走れるんですね。かなり歳の差はあるけれど、年齢は関係ないと思うな。僕が若かったとしても結果は同じだと思う。1日目は結果を捨ててテストの途中で亮太を待ちぶせして走りを盗んでやろうかと思ったくらい、速かったです。レベルがちょっと違うなって思いました」
田中教世
「丸太も2個ずつ飛ぶようにして、だいぶ調子がよかったんですけどね。学くんが速かったんでなんとかタイム上げようと攻めてたら、自滅してしまいました。やりきったし、楽しいレースでしたね。トップ3人がチャンピオンをかけて走ってたので、それだけ限界超えて走ってるんだなって思っていました。今回、ラインはほとんどみんな同じだったはずなのに、あれだけ亮太(馬場)が差をつけてくるのは凄いですね。来季は有効ポイント制があれば、シーズンを通して挑戦したいと思っています。ちょっと今年はサスペンションを緩めすぎたかなと思っているので、来年はもう少し固めてきたいです」
IB、W 2日通してトレールバイクが圧勝、岩嵜優
強豪ひしめくIBクラスでデイ1は思わぬ伏兵が登場。並み居るレーサーを尻目にホンダのCRF250Lに乗る岩嵜優が全テストでトップタイムをたたき出した。デイ2もそのスピードには衰えず最初のテスト以外をすべて1位でまとめて優勝。2位山口智は岩嵜から1分遅れ、3位田中大貴は2分遅れという展開だった。
岩嵜優
「映像をみてもらうとわかると思うんですけど、僕そんなに頑張って乗っていないんですよ。このバイク(CRF250L)ならそれでもこの成績が出せるってことなのかなと思います。オンタイムレースは2度目なのですが、パドックに帰ってきて一息ついて止まってしまうと再度テンションを上げるのが難しいなと思いました。何度やめようかと思ったことか。1日目はIAのタイムにどれだけ迫れるか、と頑張れたのですが2日目は難しかったですね」
山口智
「今シーズン1年、ストレスがたまるレースが多かったのですが、最後に2位に立ててよかったです。ただCRF250Lに負けたことだけが悔しいですね(笑)」
田中大貴
「大きなミスがないシーズンでよかったです。タイムが出ているわけではないのですが、順位は安定していました。チャンピオンとの差は大きいのですが、IAになったらまずはポイントを目指したいです」
ウィメンズはデイ1で1秒差の接戦で田中亜美が松本亜希子を下していたが、このデイ2でも熾烈なデッドヒートを繰り広げ、トップタイムを交互に入れ替える白熱の展開に。前半は松本優勢だったものの、終盤に田中が巻き返して2秒の差で勝利した。
田中亜美
「昨日も今日も2位スタートで10秒くらい差をつけられてめちゃくちゃ焦ってたんですが、チームのみんなに声をかけらたことで頑張ることができました」
松本亜希子
「今日はホームコースだし勝ちたかったんですが僅差で負けてしまいました。来年に繋げたいと思います」