全日本エンデューロ選手権 Rd.5 日高ツーデイズエンデューロ DAY2「それぞれが全力を出し切った日高、馬場亮太が2年連続シリーズチャンピオンを決める」

2023年9月17日、4年ぶりに復活した日高ツーデイズエンデューロはDAY2を迎えた。一時は雨予報が出ていたものの、朝は太陽が顔を出し、午後から雨予報。DAY2は昼過ぎにはレースを終えるタイムスケジュールのため、ライダーたちは安堵の表情を浮かべていた。

DAY1では馬場亮太が優勝し、釘村忠に5ポイント差をつけてランキングトップへ。有効ポイント制のため、馬場は開幕戦広島の3位を、釘村は日高DAY1の3位をカウントしないと仮定すると、この日勝った方が年間チャンピオンという最高の舞台が整った。また、DAY1で2位に入り2人を脅かし始めている保坂修一の存在もキーとなる。

IAクラスではほとんどのライダーがDAY1のフィニッシュ前にリアタイヤの交換を終えており、DAY2スタート前に与えられているワークタイムではフロントタイヤの交換作業が行われた。

4.64秒差の手に汗握るバトル
チャンピオンを賭けたIAクラス

DAY1は7本あったスペシャルテストもDAY2は5本の設定。1周約130kmある日高の山に拓かれたコースを1周し、ゲレンデのクロステストをもう1周走ってフィニッシュとなる。

1組目にスタートした3名の中で最初にテストに飛び込んだのは飯塚翼。続いて大神智樹、酢崎友哉、石戸谷蓮、太田幸仁……。そして十分な暖気運転を行った釘村、馬場がテストイン。

まず1本目のゲレンデでトップタイムを出したのは馬場だった。釘村に対し約3秒のリードを築き、主導権を握った。昨年から繰り広げられているこの2人の戦いを知っている人には、この3秒がいかに大きな差かわかるだろう。馬場と釘村は1日走ってコンマ秒差というような信じられないバトルを、幾度となく繰り返してきたのだ。

2本目となるミシマエンデューロテストでは釘村が0.8秒ほど馬場より速くゴールゲートを潜り、追い上げをかけた。しかし、3本目ジュナイトのエクストリームテストでは再び馬場が0.5秒ほどリード。3本のテストの合計で馬場が2秒ほどリードを築いた状態で残りは西山エンデューロテストとゲレンデのクロステストを残す。

4本目、西山エンデューロテストの終盤、釘村のすぐ後に馬場が迫っていた。釘村はもちろん馬場とのタイム差を認識しており、必死で逃げたが、馬場はここでウルトララップを達成。6分43秒39というタイムは、DAY1の自己ベストを25秒以上も縮めるものだった。釘村は後ろに馬場が迫っていることも意識しつつも、ミスなくテストを終えたがタイムは6分51秒16と、惜しくも及ばなかった。

最後のゲレンデクロステストでは釘村が自己ベスト3分51秒15を叩き出し、べストラップとなるが、馬場との差を挽回するには及ばず、馬場の優勝が決まった。同時に馬場亮太の2年連続年間チャンピオンも決定した。

IAクラス総合優勝は馬場亮太、準優勝は釘村忠、3位に保坂修一、4位太田幸仁、5位大神智樹、6位飯塚翼。

馬場亮太
「西山エンデューロテストでは釘村さんも全開で攻めてくるのがわかっていたので、すごく頑張りました。昨日ミスしていたところを修正して、一度危ないシーンもありましたが、きっちり攻め切ることができました。昨日と違ってコーナーにバンクができていたのですが、そこが逆に滑りやすくて。直前にスタートした釘村さんのオーバーランした跡とかを見ながら、自分もヒヤヒヤしながら走りました。

スタッフのみなさん、昨日と今日の間にも色々とコースを変えてくださったりして、ありがとうございます。昨日も今日も大きなミスがなく走り切ることができて、それが一番の勝因だったと思います。チャンピオンを獲ることができてホッとしています。来年以降ももし出られたら、嫌っていうほど今日のようなレースができると思うので、また頑張りたいと思います」

釘村忠
「自分のベストは全部出すことができたと思います。大きなミスもなくて、最終戦にして今年で一番うまくいったように感じています。もちろん悔しい気持ちはありますが、亮太が速かったですね。西山エンデューロテストでは離されないようにしようと思っていたのですが、音が後ろから迫っていて、結果を見たら10秒差で……最後のゲレンデも全力で攻めましたが追いつくことができませんでした。

本当に最高の日高でした。皆さんも実感していると思いますが、他の全日本とはまた違った雰囲気で、スタッフのみなさん、関係者のみなさん、本当にありがとうございました。
個人としては亮太に負けてしまったので、泣きの一本、もう一回やらせてください、というのをやりたいです。それくらい2人で切磋琢磨しながらどんどんJECのレベルを上げていって、それに引き続くIA、IB、NA、NB、承認の方も皆さん楽しんでレースしてもらってレベルを上げていければと思います。これからも選手会として活動していきますので、アンケートに思いの丈を書いてもらえればしっかり良くしていきたいと思いますので、よろしくお願いします」

保坂修一
「大きなミスもなく、まぁまぁリスクを負って必死に攻めたんですけど、まだ甘かったですね。僕が10秒縮めたテストを釘村さんと馬場さんは20〜30秒縮めていて……。まだマシンのセッティングとかライン取りとかが甘いのかな、と思いました。

今日は前の2人には全く追いつけず負けてしまったので、また来年頑張りたいと思います。DAY1は釘村さんに勝つことができたので、それだけは思い出として持ち帰りたいと思います」

クラスそれぞれに熱い戦いがある

IBクラスはDAY1同様に高橋吟が全テストでベストラップを叩き出し、完全勝利。来年のIA昇格を確実なものとした。高橋はすでにIAでも3〜4番手のタイムを出しており、来年はいきなり釘村、馬場、保坂を脅かす存在になりそうだ。

IBの2位争いでは藤村昂矢が前半をリード。しかしジュナイト、西山、ゲレンデと星野利康が2番タイムを連発し、最後は星野が2位、3位に藤村となった。

IA昇格を決めたのは高橋、星野、森慎太郎の3名。

NAクラスではDAY1を4位で終えた野城良浩がミシマエンデューロテスト、ジュナイトでトップタイムを出し、リードを守り切って優勝。なんと2位の中木原純とのタイム差は0.01秒という、ギリギリのバトルを展開した。

NBクラスはDAY1に続いて荻野正彦が優勝。ジュナイトで大きくタイムロスし順位を8位まで落とすも、最後のゲレンデで大逆転を果たした。

Wクラスでは保坂明日那が優勝。DAY1では川渡やヤチでキャブに水が入ったのか、エンジンが吹けずにジュナイトのヒルクライムが登れず大きくタイムロスしたが、DAY2ではしっかりと整備しマシンは完調。ジュナイトでもトップタイムを出し、ミア・ハッキングに1分以上の差をつけた。

総合ではミアが優勝。2位に和田綾子、3位、保坂明日那となった。

2日間を通してレースに参加した6名の海外ライダーはレクシィ・ペチョウIAクラス10位、ジェンマ・ウィルソンIAクラス18位、スティーブ・パークNAクラス19位、ローレンス・ハッキングNBクラス4位、サイモン・ペイヴィNBクラス5位、ミア・ハッキングWクラス1位という結果になった。

ジェンマは「たくさんのスタッフが関わってくれていて本当に素晴らしい大会でした。来年はオーストラリアからたくさんのライダーを連れて、また参加したいと思います」とコメントを残した。

こうして2023年の全日本エンデューロ選手権は全日程を終了した。

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