JEC Rd.2-3ルスツ DAY1「集中力が試される、繊細なトラック。鈴木健二によって、YZ250Fがエンデューロデビューウィン」

コロナ禍によって、例年の日高2デイズエンデューロの代替レースとして、北海道ルスツに位置するビッグベアにて全日本エンデューロが開催。北海道が誇るリゾート地であり、羊蹄山を望む景観の中、長いことアイドルタイムを強いられたシーズンが、再開した。丘陵地の斜面を大胆にレイアウトしたコースは、エンデューロテスト1本とクロステスト1本を擁するもの。全長としては、さすがに公道を使う日高には及ばないものの、牧草地に切り拓かれており難易度は高め。また、元々雨が降ればスリッピーだと定評がある同地に、荒天が続いた。

変わらぬ構図、鈴木健二 VS 釘村忠。これに食らいつこうとする若手達

例年、この北海道ラウンドでは日高町の公道を使うことから、ヤマハ専属の鈴木健二はトレールバイクでの戦いを強いられたのだが、クローズドコースのルスツに変更されたことで、鈴木はレーサーで参戦できることに。折しも、2021年モデルのYZ250Fはエンジンに大きく手を入れてリリースされたことから、この新型マシンを鈴木はルスツに投入。特に、ガレなどがない今レースでは、モトクロス的な特性がマッチしそうだ。昨年チャンピオンの釘村忠は、このオフシーズンにしっかりと準備をこなして万全の体制に整えた。

予想どおり、レースはこのトップ2の優勝争いへ。1周目の試走で、鈴木はサスペンションのセッティングを変更、「これまでにないほど固め」にセットしたという。「思ったよりも、大きな入力が多かったし、ガレらしいものもない。モトクロスに近いセッティングでも戦えると感じました」と鈴木。

2周目からは、シーソーゲームがはじまった。オンタイムエンデューロは、コースの攻略が大きな要素となる。早期にラインを見定めて、前の周よりさらにタイムをつめていくことで、よりライバルにたいしてアドバンテージを築いていくのだ。コースのキャパシティの問題で、二人の前に下位クラスのバックマーカーが現れることが多かったが、この加減はそのままタイムとして現れた。二人は、ほぼ同じタイミングでテストにインするため、ラップタイムは振れるものの、二人とも同じような振れ方をするが、接戦のうえ鈴木がDAY1をウィン。

3番手には、復調の兆しを見せて前橋孝洋が好タイムをマークしていたが、中盤で大きく失墜。保坂修一が3位に浮上した。


鈴木健二
「ルートが短く、テスト間で休みがないから、日高よりも集中力が必要で、かえって精神的に疲れましたね。最後まであまり乗れてなくて、今回は負けたなと思ってました。最後の周、いつも忠(釘村)はスーパーラップを出してきますからね。自分はそんなにつめられないなと。21モデルのYZは、中高速がかなり伸びるので、助けられた感があります」

釘村忠
「バックマーカーをうまく処理するのは、やっぱり健二さんがウマイのかな…。走れていないわけではなく、まぁまぁ走れていたのに、タイムに結びつけられませんでした。このコース、下見した感じはヨーロッパっぽい感じですごくいいなぁ、と思ってたんですが、走ってみるとやっぱりヨーロッパの連中が使うようなスピードが乗るラインを使えなかったなぁ、と思っています。もうちょっとプッシュできたかなぁ…」

保坂修一
「前橋くんに完全にやられた感じですね。実力としては、全然負けてました。セクションの攻略が、自分はまだ甘いと感じています。これからもう少しコースを下見して、つめてきたいですね。それと、1週間後に大神さんと一緒にエンデューロGPを観にイタリアにいくので、いろんなものが見れたらいいなと、思います」

目指すはIAでの上位、渡辺誉が圧勝

スーパールーキーが現れることも少なくないIBクラス、この北海道で圧勝したのは渡辺誉。全テストで一番時計をマークしており、2位とは4分差をつけた。2位の中江優介、3位伊藤智那と1分差で続いていくことから、2位以下は僅差のバトルを繰り広げていたことがわかる。メーカー対決では4位までヤマハが独占した形だ。

渡辺誉
「クロステスト、もう少しつめたいなとおもいます。IAでも7番手くらいなので、正直満足はしていないですね。全体的にスピードが足りていないことを感じています。ベースアップが必要なんでしょう、エンデューロの経験値も増やしていかないとですね」

ウィメンズクラスでは、地元の高見智代がさすがの強さを発揮して勝利。明日も好成績を目指す。

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