JEC Rd.5 中日本2DAYSエンデューロDay2「馬場亮太、限界を超えた超接戦を制し、破竹の5連勝!」

富山県コスモスポーツランドにて開催された中日本2DAYSエンデューロ2日目。朝から太陽が顔を出し、最高気温は30度に達し、DAY1よりもいっそう暑さが厳しい過酷なレースとなった。

前夜に発表された公式通知により当初予定されていたよりも各クラス1周減。そしてルートの一部がカットされたことにより、全ライダーのタイムチェックに余裕が生まれ、熱中症対策にも時間が割けるようになった。

テストの周回、レイアウトはDAY1と同じことから1周目から計測あり。DAY1と同じ8回の計測で順位を争うことになった。

IA:その差1秒以内の鍔迫り合い、馬場VS釘村

DAY1のレースが終わった後、多くのライダーはラインを再確認するために連れ立って下見に出た。特にウッズのライン取りは難しく、ライバル同士でも意見を出し合って試行錯誤を繰り広げていたようだ。

このレースでiRCの新タイヤGX20をデビューさせた釘村忠はDAY1のワークタイムにてエアクリーナーの交換とリアタイヤの交換を完了していたが、DAY2も朝のワークタイムを使ってフロントタイヤを交換。前後新品タイヤで優勝を狙う。

対する馬場亮太はDAY1にリアタイヤのみ交換しており、フロントタイヤはそのままDAY2に挑んだ。そしてDAY1を怪我でリタイヤしていた保坂修一は、右足小指の骨折を押してDAY2の出走を決意。車検を受けて再びパルクフェルメにマシンを預けた。

1周目のテストに一番手で飛び込んだ釘村は、いきなり5:40.13をマーク。DAY1の自身のべストラップを10秒以上縮めてきた。対する馬場も5:42.50。釘村と馬場はテスト内でNBライダーに追いついてしまう2周目以降もこのハイペースを維持した。1周目に釘村が1番時計を出すと2周目には馬場、そして3周目はまた釘村。交互に1番時計を出す一進一退の攻防が、最後まで続いた。

しかし、合計タイムは徐々に馬場がリードを築き始めた。馬場は3周目にウッズで転倒し3番時計を出したものの、4周目からはトップを譲らず好調をキープ。とはいえ、釘村との合計タイムの差は1秒にも満たないわずかなものであった。

8周を終え、いよいよ残り1周。馬場のリードはわずかに0.75秒。NBクラスは一足先にレースを終えており、完全にクリーンな状態のテストでの一騎打ちとなった。他クラスのライダーも注目する中、馬場が出したタイムはこの日のベスト、5:37.92! 続く釘村も自身のベストを叩き出したが、5:38.14とわずかに及ばず。

優勝は馬場亮太。初のフル参戦シーズンにして、なんと開幕から5連勝を達成した。過去、2008年に鈴木健二が開幕4連勝(Rd.5-6は日高のため0ポイント)という記録があったが、5連勝はMFJのホームページ上の記録にある限り、確認できない。シリーズランキングでも2位の釘村に35ポイントの差をつけ、チャンピオンに向けて大きく前進したと言える。

2位は結局0.97秒差で釘村忠、3位には榎田諒介が入った。なお、2DAYSのテストタイムの合計で決定する総合順位も同様となった。

馬場亮太
「1周目から昨日のベストタイムを更新したのですが、釘村さんがもっと速いタイムを出していて、めちゃくちゃ気合入れて2周目以降に挑みました。おかげで2周目はいいタイムが出せたのですが、3周目には気持ちが空回りしてしまって、転んでステップを曲げてしまいました。テスト内の湿ったガレの登りが本当に難しくて、昨日もそこがうまく走れなかったので、レースが終わった後にもう一回下見したんです。それでラインは見つけていたんですけど、やはりうまく走れなくて。8周目までは他のところでも毎周小さなミスがあったのですが、最後の9周目に全てがカチッとハマって、べストラップを出すことができました。最後の1周はパドックを出る時、緊張して吐きそうだったので、今日の優勝は本当に嬉しいです」

釘村忠
「昨日のレース後に下見して新しいラインを見つけたり、走り方もギアの一番美味しいところをうまく繋いで走るように改善してみました。そして1周目から気合入れてタイムを出していったんですけど、亮太もどんどん攻めてきて、やっと本気を引っ張り出せたんじゃないかな、と思います。オンタイムである以上、テスト中に前の組のライダーに追いついてしまうのは仕方ないことなのですが、昨日は狭いウッズの中で絡んでしまうことが多かったので、今日はIAの先頭でテストに入るように意識して、コース幅の広いモトクロスコースで追いつくようにしてみました。途中ギアチェンジで失敗して少し失速しちゃったりしましたが、ラスト1周にうまくハマってくれてベストを更新できました。でも、亮太の方が速かったです。本当に、こんなに頑張り甲斐のあるシーズンは久しぶりで、めちゃくちゃ楽しいです」

榎田諒介
「昨日の前半はラインがうまく掴めなくて苦戦していたんですけど、最終周でベストラインを見つけて1番時計を出せたので、今日はそのラインを使って、安定していいタイムを出すことができました。昨日の前半でついてしまった差をなんとか詰められて、総合でも3位に入れたのが良かったです。前の2人が速すぎて、今日は結局1番時計が出せなかったので、次の九州までにまた練習して少しでも追いつけるように頑張りたいと思います」

IB:向坊の離脱、世利が連勝を阻む

IBクラスはなんと開幕から3連勝していた向坊拓巳が1周目にチェーンが切れてしまい、リタイヤ。向坊はDAY1の7周目、派手にハイサイドでクラッシュしており、その時の影響があったのかも、とのこと。1周目に1番時計を出したのは星野利康。2周目は世利和輝。そしてどちらも2番時計は青木琥珀が出しており、序盤はその3台の争いになるかと思われた。

しかし、中盤で砂田彰が1番時計を連発すると、青木、世利がタイムを落とす展開。最後は世利が再び1番時計を連発し、優勝。2位は安定して2〜3番時計を出し続けた星野。3位には砂田が入った。なお、総合では金田拓典が3位入賞。青木はラスト1周に熱中症で朦朧としたままテストを走り、大きくタイムを落としてしまい、5位となった。

世利和輝
「今日は朝からラインがぼこぼこになってしまっていてうまく走れませんでした。いろいろラインを変えていたら転んでしまって…。GWにオーランドに練習に行って、スタンディング縛りで速く走るテクニックをIAの太田さんに教えてもらって、今日はテスト中も9割くらい立って乗ってました。そしたらだいぶ体力を使わずに走れるようになりましたね。昨日よりも暑かったですが、まだ2周くらい走れますよ。僕は元々トライアルライダーなので、座って走るよりも立って走る方が向いていたんだと思います」

NAクラスはDAY1に続いて高橋吟がオール1番時計で完全優勝。総合順位は1位高橋、2位杉原幸信、3位山本嵩大。

高橋吟
「昨日は少しだけ余裕があったので、今日は怪我しないようにセーブして走っていたのですが、最終周だけ頑張って攻めてみて、昨日のベストから5秒くらい縮めることができました。でも自分のレースが終わったあと、釘村さんや馬場さんの走りを見に行ったら自分と全然違くて、でもどうしたらあの走りができるのかわからなくて。IAの壁の高さを痛感しました」

NBクラスはDAY1に4位だった塚越智也が1周目から3周連続1番時計。総合はDAY2も3位と成績をまとめた土屋吉輝が優勝。2位に両日2位に入った田中大貴。3位には塚越が入った。

塚越智也
「DAY1が終わってからテストのウッズをしっかり下見して、それでタイムを縮めることができました。4周目にオーバースピードでコーナーに突っ込んで吹っ飛びましたが、他はトラブルもなく成績をまとめることができました。DAY1ではテストに入る時に順番待ちが発生してしまって、そこで暑さにやられたり、パドックに戻る時間が圧迫されちゃったりしたのですが、今日はそれがほとんどなくて、スムースにレースを進めることができたのが、とても良かったです。DAY1でのロスが大きいので総合はたぶん土屋さんにやられちゃってると思います」

ウィメンズでは1周目に太田晴美が1番時計を出すと、2周目にはDAY1を制した保坂明日那が負けじと取り返した。僅差の勝負かと思われたが、そこから保坂は歯車を狂わせてしまい、軍配は太田に。総合も太田、保坂、籾井美嘉の順。

太田晴美
「2週間前、コスモに練習に来たんですけど、ウッズの丸太を失敗して右手を骨折しちゃったんです。さらに昨日は熱中症気味になっちゃって全然集中できなかったので、今日は毎周パドックで頭から水を浴びて、びちょびちょになって出発しました。昨日のべストラップは更新できませんでしたが、タイムをまとめることができ、総合でもなんとか優勝できて良かったです」

天候の影響もなく、テストコースのレイアウト変更もなく、2DAYSで大きくコースコンディションが変わらないレースだったが、DAY1後の下見がリザルトに大きな影響を与えたラウンドとなった。

次戦は7月31日、御所オートランドで開催される九州大会となる。

 

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